経団連 夏のフォーラム閉会 リスキリング推進など政府に提言

大手企業の経営トップが参加する経団連の夏のフォーラムが21日、閉会しました。この中では、リスキリングの推進に向けた給付の拡充などを通じて円滑な労働移動を実現するなど、政府への提言を盛り込んだ文書をとりまとめ、出席した岸田総理大臣に手渡しました。

経団連の夏のフォーラムは大手企業の経営トップなどおよそ40人が参加して20日と21日の2日間、長野県の軽井沢町で開かれ「資本主義の再構築と人材育成」をテーマに議論を行い、総括文書をとりまとめました。

この中では、政府などへの提言も盛り込まれ、脱炭素やスタートアップなど重要分野への集中投資を支援すること、リスキリングの推進に向けた給付の拡充などを通じて円滑な労働移動を実現すること、さらに「グローバル・サウス」と呼ばれる国々と連携し、人材の確保や新たな産業の育成につなげていくことなどを求めています。

最終日の21日は岸田総理大臣も去年に続いて出席し、フォーラムで議長を務めたみずほフィナンシャルグループの佐藤康博特別顧問と、経団連の十倉会長が総括文書を手渡しました。

十倉会長 労働移動の円滑化実現へ政府の支援の必要性強調

十倉会長は夏のフォーラムの終了後の記者会見で、リスキリングの推進などによる労働移動の円滑化の実現について「人の移動はひとつの企業においてもポートフォリオを転換するためにやらないといけないが、産業を超えた移動もあって、そのあたりはそれぞれの企業というより政府の支援が必要だ。企業を通じてではなく、個人に届くような支援をおこなってほしい」と述べ、政府の支援の必要性を強調しました。

また、フォーラムで議長を務めたみずほフィナンシャルグループの佐藤康博特別顧問は「今回の議論で意識したのは成長と分配の好循環を考えたときに、賃上げなどによる分配から、もう一度、成長へとサイクルを回さないといけないということだ。ヘルスケアの分野をはじめ、成長への道筋をつけてサイクルを回すことができるか、模索していかないといけない」と述べました。