ウオッチ9コロナ関連動画 視聴者誤認させ不適切 4人を懲戒処分

ことし5月、NHKのニュース番組「ニュースウオッチ9」で放送した新型コロナに関連する1分間の動画について、NHKは、視聴者を誤認させる不適切な伝え方で取材・制作の基本的なルールが守られていなかったとして、担当者や上司など4人を出勤停止や減給などの懲戒処分にすることを決めました。

ことし5月15日に「ニュースウオッチ9」のエンディングで放送したおよそ1分間の動画では、ワクチンを接種後に亡くなった人の遺族3人のインタビューを紹介しましたが、コロナに感染して亡くなった人の遺族だと視聴者を誤認させる不適切な伝え方をしました。

これについて、NHKは翌日、番組内でおわびするとともに、原因などを調べるため関係者へのヒアリングなどを進めてきました。

その結果、取材・制作にあたった職員は、新型コロナなどの社会問題に対する認識が不十分でワクチン接種後に亡くなった人の遺族でも、広い意味でコロナ禍で家族を亡くした遺族と伝えても問題ないという誤った認識のもとで、取材・制作を進めていたことがわかりました。

また、上司の管理職も取材の経過について報告を求めず、職員に任せきりにしていたほか、番組の編集責任者も提案票にワクチンに関する記載があったにもかかわらず、提案段階で、それ以上確認せず見過ごしていました。

さらに、試写では、参加者が家族を亡くした経緯を聞くなど重要な点を確認しておらず、議論を掘り下げる姿勢に欠けていて、提案・取材・制作の各段階のチェックがいずれも不足していました。

NHKは、「放送ガイドライン」で定める取材・制作の基本的なルールが守られていなかったとして、いずれも当時の肩書きで、▽報道局映像センターの職員と上司の2人を出勤停止14日、▽編集責任者を減給、▽編集長を譴責の懲戒処分にすることを決めました。

また、▽当時の映像センター長を訓告、▽試写に参加した管理職3人を厳重注意としました。

今回の問題を受け、NHKは再発防止策として、遺族取材など慎重な判断が必要な内容の場合、放送時間の長さに関わらず、取材・制作に関わっていない職員が確認する「複眼的試写」の対象とするなどチェック機能を高めるとともに、放送ガイドラインの原点に立ち返るジャーナリスト教育を強化することにしています。

NHKは「取材させていただいたご遺族、そして視聴者のみなさまにあらためておわびいたします。再発防止に向けて、全局的な取り組みを進め、信頼回復に努めてまいります」とコメントしています。