国連グテーレス事務総長 「平和への新たな課題」提言を発表

国連のグテーレス事務総長は「平和への新たな課題」という提言を発表し、核兵器の廃絶や多国間主義の重要性を強調したうえで、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が平和の実現をより困難にしていると指摘しました。

グテーレス事務総長は20日、ニューヨークの国連本部で加盟国を前に演説し、核兵器の廃絶や対話を通じて紛争を未然に防ぐ予防外交の重要性、さらにジェンダーに基づく暴力の根絶などを盛り込んだ、「平和への新たな課題」という提言を発表しました。

グテーレス事務総長は「紛争はより複雑化し、解決が難しくなっている。去年は紛争に関連した死者数が過去30年ほどの中で最も多くなった」と述べ、強い危機感を示しました。

そして、核戦争への懸念が再燃し、気候変動によって資源の奪い合いが起き、各国間の緊張が高まっているとしたうえで、「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が、さまざまな問題への対処をより困難にしている」と指摘しました。

このあと各国の代表が発言し、このうちロシアの国連次席大使は、世界が危機に直面しているという提言の趣旨には賛同しながらも、「このような事態を招いた背景が分析されなかったことを残念に思う」と述べ、軍事侵攻の原因はあくまでも欧米側にあるなどとして、提言を批判する場面もありました。