囲碁「本因坊戦」一力棋聖が井山三冠に勝ちタイトル獲得

囲碁の七大タイトルの1つ、「本因坊戦」の第7局が三重県で行われ、挑戦者の一力遼棋聖(26)がタイトルを持つ井山裕太三冠(34)に勝ってタイトル獲得を果たしました。

挑戦者の一力遼棋聖とタイトルを持つ井山裕太三冠による「本因坊戦」七番勝負は、3勝3敗の五分となり、勝負は20日の最終局までもつれこみました。

対局は三重県鳥羽市で行われ、20日午後8時、218手までで後手で白番の一力棋聖が先手で黒番の井山三冠を投了に追い込み、自身初となる「本因坊戦」のタイトルを獲得しました。

これで、井山三冠が持つ「本因坊戦」の連覇記録は11で途絶えることになりました。

「本因坊戦」は、来期から挑戦者がタイトル保持者に挑む「挑戦手合」が五番勝負になるなど、大幅に規模を縮小することになっています。

一力遼新本因坊「歴史を肌で感じ 名を刻めるのは光栄」

対局を終えて会見に臨んだ一力遼新本因坊は、「今終わったばかりでまだ実感が湧きませんが、とりあえずほっとしています。1日目で形勢を損ねてしまったので、2日目のきょうは少しでも最終局を盛り上げられたらいいな、自分なりに最善を尽くせればという気持ちでやりましたが、それが結果的に幸いしたのかなと思います」と対局を振り返りました。

7番勝負を戦った井山裕太三冠について、「私は調子がよかったり悪かったりしてしまうが、どんな状況でも高いパフォーマンスを維持し続ける点ではまだまだ及ばないと感じています」と話した上で、今後について「本因坊の歴史を肌で感じて、そこに名を刻めるというのは、恐れ多い気持ちでもあるし、光栄だという気持ちでもあります。今回の7番勝負で自分の至らないところに気づかされたので、まずは実力を高めることを意識したい」と話していました。

また、地元・仙台については、「仙台には小さいころからお世話になった人たちもいて、今もいろいろな形で応援していただいているので、ひとつ恩返しができたかなと思います。ただ、これからも大変な戦いが続いていくので、気を引き締めて頑張っていきたい」と話していました。

井山裕太三冠「今回出たものが自分の実力 力を蓄えて次に」

敗れた井山裕太三冠は「チャンスもあったと思うがそこを結果に結び付けられなかった。今回出たものが自分の実力なので、少しでも力を蓄えて次に向かっていきたい。ここまでよく続けてこられたとは思うが、それはそれとして結果を受け止めたい」と話しました。

そのうえで一力遼棋聖については「これまでも数多く戦ってきた相手なので、どうということはないが、ことしに入ってから非常に充実されているというのは盤を挟んでいても感じた」と話していました。