秋田 八郎潟町 浸水の車中で男性が死亡した現場 専門家が調査

記録的な大雨で、水につかった車の中で男性が亡くなっていた秋田県八郎潟町では、大雨災害に詳しい専門家が車が流された状況などの調査を行いました。

今回の記録的な大雨で広い範囲が浸水した秋田県では、五城目町に隣接する八郎潟町で川の近くの農地で水につかっていた車の中から男性1人が死亡しているのが見つかったほか、秋田市中心部では水につかって動かせなくなった車が路上に多く残されるなど各地で大きな被害が出ました。

このうち八郎潟町の現場には、20日に大雨災害に詳しい静岡大学の牛山素行教授が訪れ、現地調査を行いました。

警察によりますと、死亡した男性は車で帰宅途中に川からあふれた水で流されたとみられ、牛山教授は現場周辺の浸水の深さや土地の高低差などを確認していました。

牛山教授によりますと、今回の調査では、男性の車が通っていたとみられる道路に最大で1メートル20センチほど浸水した痕跡が見つかったということです。

また、車が見つかった農地は道路よりも低く、道路に流れ込んだ大量の水でおよそ150メートル離れた低い場所の農地まで一気に流された可能性が高いということです。

牛山教授は、車で移動中に大雨が降った場合、土地に高低差があれば川沿いだけでなく都市部でも同じような被害にあうおそれがあるとした上で「車に乗ったまま流されてしまうと助かる可能性が低い。特に交通量が多い都市部では身動きがとれないまま流されるおそれがあり、少しでも浸水したら車を手放して高い場所に逃げてほしい」と話していました。

“数10センチの深さでも流される可能性”

牛山教授が2019年までの20年間に大雨などの水害で死亡した全国の1373人について調べた調査によりますと、屋外で死亡した人は665人で全体の48.4%、屋外で亡くなった人のうち車内で亡くなった人は201人と30%にのぼっています。

車内で亡くなった人についてさらに詳しくみてみると川からあふれた水に流されたとみられる人が102人で最も多く、次いで増水した川の近くを移動している時に転落するなどした人が56人、土砂に巻き込まれた人が29人などとなっています。

牛山教授は「数10センチの深さでも流れが速ければ車が動かせなくなったり流されたりしてしまう。車の中は決して安全ではないので、大雨の際は浸水した場所に近づかず、道路などが浸水し始めたらすぐに安全な場所に逃げてほしい」と話しています。