千葉 佐倉市が公立幼稚園を今年度で閉園 保護者など撤回求める

千葉県佐倉市は、市内にある3つの公立幼稚園を入園する子どもの減少などを理由に今年度いっぱいで閉園する方針を19日に決定しました。これに対し反対する保護者などが20日に会見を開き、撤回を求めました。

佐倉市には、3つの公立幼稚園がありますが、3歳から5歳の子どもの幼児教育と保育の無償化で、民間の幼稚園などを選ぶ人が増えたほか、少子化の影響などで園児の数が定員を大幅に下回っているなどとして、市の教育委員会は19日、今年度いっぱいで閉園する方針を決定しました。

これに反対する保護者らが20日に会見を開き、この決定の撤回を求めました。

この中で、5歳の長男が公立幼稚園に通う森本早苗さんは、公立の幼稚園は民間の幼稚園で受け入れられなかった障害がある子どもの受け入れ先にもなっているなどとして「要望書を提出するなどしてきたが、方針が決定されてとても残念な思いです。決定を撤回してほしい」と話しました。

一方、佐倉市は「入園する子どもが少なく、幼稚園での集団生活を営むのは難しいと判断した。障害のある子どもは民間の幼稚園でも受け入れているので、今後、関係機関と連携して対応したい」としています。

文部科学省によりますと、公立幼稚園の数は幼児教育と保育の無償化が始まった2019年の時点で全国で3400余りでしたが、去年は2900余りまで減少していて、今後も減少傾向は続くとみられるということです。

幼児教育などに詳しい保育システム研究所の吉田正幸代表は、幼稚園の運営にかかるコストも無視できない問題だとした上で「早めに外部の有識者を入れた会議を開いて保護者の声を聞いて、障害児の受け入れなどについてもカバーできるよう議論するべきだった」と指摘しています。

その上で、公立か民間かにかかわらずすべての子どもが質の高い教育を保証されるべきだとして「市は、閉園で浮いたコストを使って、障害児を受け入れる民間の幼稚園などへの市独自の財政措置や人員の配置を行うべきだ」としています。