“ロシアが黒海で民間船舶を攻撃するおそれ” 米が警戒感

ロシアが黒海でウクライナに向かう船舶を、軍事物資を輸送している可能性があるとみなすと警告したことについて、アメリカ・ホワイトハウスは民間船舶が攻撃されるおそれがあると警戒感を示しました。

ロシアはウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行を停止したのに続き、黒海でウクライナの港に向かうすべての船舶は軍事物資を輸送している可能性があるとみなすと警告しました。

これについて、アメリカ・ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議の報道官は19日、声明を発表し、「ロシアが黒海で民間船舶を攻撃するおそれがあるという情報がある」と警戒感を示しました。

また、アメリカ政府は、ロシアがウクライナの港への航路に追加の機雷を設置したという情報を把握しているということです。

声明では機雷の設置について、「これは黒海での民間船舶への攻撃について、その責任をウクライナに負わせるための組織的な動きだと考えている」としています。

さらに、ロシアがこの2日間で、オデーサにあるウクライナの農産物を積み出す港をミサイルや無人機で攻撃し、農業用のインフラや6万トンの農産物に被害をもたらしたとしています。

ゼレンスキー大統領「ロシアの標的 ウクライナだけではない」

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日に公開した動画で、ウクライナ産の農産物を積み出す港があるオデーサ付近がロシアによる攻撃を受けていると訴えました。

ゼレンスキー大統領はロシアによる攻撃について、「ロシアの標的がウクライナやウクライナ国民の命だけでないことを今回の攻撃が証明している」と指摘しました。

そのうえで、「昨夜のロシアの攻撃で最も被害を受けた港には、中国に出荷されるはずだった6万トンの農産物が保管されていた。誰もがロシアのテロの影響を受けている」と述べ、改めてロシアへの制裁の必要性を強調しました。

松野官房長官「影響など関心を持って注視」

松野官房長官は午前の記者会見で、「今後の情勢に与える影響などに関心を持って注視していく」と述べました。

そのうえで、小麦価格への影響について、「外国産小麦の政府からの売り渡し価格はことし4月の改定時のものが9月まで適用されるため、直ちに国内での販売価格に影響はないと考えている。ただ、国際貿易や穀物相場の状況、物価の動向を引き続き、緊張感を持って注視していきたい」と述べました。