給食ない夏休み 支援要請が増加 フードバンク 食料確保に苦心

学校が夏休みに入り給食がなくなる時期を迎えることから、全国のフードバンクは子どもがいる世帯を中心に食料の配布を集中的に行っています。一方で、物価高騰の影響で支援の要請が増えている団体も多く、食料の確保に苦心しています。

全国フードバンク推進協議会に加盟する全国37のフードバンクは、給食がなくなる夏休みの期間中に子どもがいる世帯を対象に食料を集中的に配布する取り組みを行っています。

このうち神奈川県平塚市で活動するフードバンク湘南では、食料を取りに来た人にスタッフが箱や紙袋に入れたレトルト食品や菓子などを手渡していました。

物価高騰 支援の要請は1.8倍に

このフードバンクでは物価の高騰に伴って去年の春ごろから、これまでの1人親家庭に加え若い世代などからも幅広く支援の要請が増え始め、昨年度は4352件と前の年の1.8倍となりました。

支援の要請はことしに入ってからも増え続けていて、団体では夏休みを前にふだんより多くの企業などに声をかけて食品を集めましたが、確保が追いつかず、1世帯に配れる量が減っているということです。

個人の寄付が減少 企業提供の災害備蓄米など増える

また、支援の中身についても、個人からの寄付が減ったことで要望の多いおかずになる食品やお菓子などが減り、企業から提供された災害備蓄米や乾パンなどが増えたということです。

食品を受け取った53歳の女性は中学生と大学生の2人の子どもを育てているということで「子ども2人が食べ盛りで、夏休みで家にいる時間も長いし食費は気になります。物価高で食品も高く感じ手が出ないものもあるので、ここでいただけるのはありがたいです」と話していました。

「ぎりぎりの生活の人たちに物価高が追い打ち」

フードバンク湘南 大関めぐみ理事長

フードバンク湘南の大関めぐみ理事長は「今が過去最高の支援件数です。ただでさえ、ぎりぎりの生活の人たちが物価高が追い打ちになって苦労されているので心配しています。私たちの活動で、少しでも夏休みに母親や子どもたちがゆとりある生活をおくれる手助けができたら」と話していました。

全国フードバンク推進協議会がアンケート調査

物価高騰はフードバンクの活動にどのような影響を及ぼしているのか、全国フードバンク推進協議会が地域の課題解決に取り組むNPOと共同でことし1月から2月にかけてアンケート調査を行いました。

調査は全国の215のフードバンクを対象に行われ、85団体が回答しました。

この中で、去年1月以降、物価高の影響で支援要請が増えたかどうかについては、77%を占める65団体が「増加した」、15%の13団体が「変わらない」、8%の7団体が「減った」と答えました。

また、支援の対象については「広がった」と答えたのは77%の65団体、「変わらない」が22%の19団体、「狭まった」が1%の1団体となりました。

寄付される食品の量については「増加した」が38%の32団体、「変わらない」が29%の25団体に上った一方で、「減少した」が全体3分の1の33%、28団体に上りました。

また、調査では、増える支援要請に対し少ないスタッフで対応せざるをえない現状も浮かび上がっています。

スタッフの数について、回答があった67団体のうち「1人から3人」が28%で最も多く、次いで「7人から10人」が22%、「4人から6人」が15%で、もっとも規模の大きい「40人から49人」は3%にとどまりました。

「フードバンクが応えられるぎりぎりの状態に」

全国フードバンク推進協議会 米山廣明代表理事

全国フードバンク推進協議会の米山廣明代表理事は「物価高や光熱費の上昇で、生活基盤がぜい弱だった1人親家庭を中心に支援を求める声が上がっている。大学生や外国人も支援するようになり、これほど多くの層から支援を求める声が上がるのはフードバンクの歴史の中でも初めてのことだ。社会的なニーズに対し、フードバンクが応えられるぎりぎりの状態になっている」と説明しました。

そのうえで「特に夏休みにかけて、小さい子どもがいる家庭では給食がなくなるので食費が日頃よりかかる時期になる。そもそも十分な食事をとることができるのが給食だけの家庭もあるので、困窮世帯の子どもにとっては集中的にサポートするのが非常に大事な時期でもある。食品や資金的な寄付を含めて、全国のフードバンクを支えていただきたい」と呼びかけました。