マイナンバー誤登録 別人の公金受取口座に振り込み 埼玉 所沢

埼玉県所沢市はマイナンバーを別人に誤ってひも付けていたため、別人の公金受取口座に振り込みをしていたと明らかにしました。デジタル庁によりますと、別人の公金口座に金が振り込まれるトラブルは初めてだということです。

所沢市によりますと、80代の女性について、平成27年12月にマイナンバーを登録する際、同姓同名で、生年月日が同じ別人のマイナンバーを誤ってひも付けていました。

このため、年間の医療費や介護費の自己負担額が基準額を超えた場合に支給される「高額介護合算療養費」について別人のマイナンバーにひもづいている口座に先月、あわせて5万7000円余りが振り込まれてしまったということです。

市によりますと、女性は、高齢者施設などに入所して住民票を移しても、移す前の市町村が引き続き保険者となる「住所地特例」の対象で、所沢市の担当者がマイナンバーを手作業でひも付ける際に、誤って別人とひも付けてしまったということです。

市は、正しいマイナンバーに直すとともに、女性の家族に謝罪しました。

所沢市国民健康保険課は、「関係する皆様に深くおわび申し上げます。今後、このようなことが起きないよう、再発防止策を徹底していきたい」と話しています。

デジタル庁によりますと、別人の公金口座に金が振り込まれたトラブルは初めてだということです。

「住所地特例」対象者にひも付ける際にミス

今回、マイナンバーが誤って登録されたのは、介護保険において、高齢者施設などに入所して住民票を移しても、移す前の市町村が引き続き保険者となる「住所地特例」の対象者でした。

市町村に住民登録のある人は、マイナンバーは自動的にひも付けられるようになっていますが、今回のような「住所地特例」の人は住民登録が別の市町村に移っているため、マイナンバーのひも付けを手作業で行う必要がありました。

所沢市によりますと、今回、市の担当者は個人情報を他の行政機関などからオンラインで照会できるシステムで、対象者の名前や住所、生年月日などをもとに検索し、出てきた同姓同名で生年月日が同じ別人とひも付けていたということです。

所沢市国民健康保険課の石川純也課長は「対象となった方には大変ご迷惑をおかけし、申し訳なく思っています。今回はひも付けをする際に、確認すべき住所の情報を見落としたために、誤りが発生した。今後はこういったことのないように、チェック体制を構築し、ミスのないように努めていきたい」と話していました。

厚生労働省 全国の自治体などに点検作業行うよう通知

厚生労働省によりますと、年間の医療費と介護費が一定額を超えた場合に還付される「高額介護合算療養費」は、介護施設などに入所するために転居しても、転居前の自治体から支給される特例があります。

こうしたケースではシステム上の処理ができず、マイナンバーとのひも付けは手作業で行われているということです。

今回のケースについて、厚生労働省は「大変遺憾だ」としていて今月14日に全国の自治体などに対し、同じようなケースでミスが起きていないか、改めて確実な点検作業を行うよう通知を出しました。

松野官房長官「初めての事案であり 誠に遺憾」

松野官房長官は、午後の記者会見で「政府で把握している限り、別人の公金受け取り口座に振り込みが行われたことは初めての事案であり、誠に遺憾だ。今回の事案も踏まえつつ、しっかりと確認作業を行い、データの正確性を確保していく。いずれにしても一日も早く国民の信頼を取り戻せるよう、政府を挙げて取り組む」と述べました。