【解説】ウクライナ側が用いたとの見方も? “無人艇”とは

ロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアとロシアをつなぐ「ケルチ橋」が17日、一部損壊したことをめぐって出ているのが、ウクライナが無人艇を用いたのではないかという見方です。ロシア軍は「ウクライナの2つの無人艇による攻撃だった」と発表しています。また、ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長にしても、「橋へのミサイル攻撃はなかった」とSNSに投稿しています。

この無人艇とはどのようなものなのか、「キャッチ!世界のトップニュース」別府正一郎キャスターが詳しく解説します。

※7月19日「キャッチ!世界のトップニュースで放送」
※動画は3分25秒 データ放送ではご覧になれません

こちらは、ロイター通信が、ウクライナ側が用いた可能性があるとしている無人艇を示したものです。

それによりますと、
・長さ 5.5メートル
・離れた場所から操縦され、最大で時速80キロで進むことができます。
・前方には爆発物が搭載されていて
・カメラの映像をもとに攻撃対象を確認することができるということです。
・1隻の価格は25万ドル、日本円で3500万円近くするということです。

仮に、ウクライナ側が今回の「ケルチ橋」への攻撃のために用いたのだとすれば、その影響を見れば、今後もクリミアを支配するロシア側にとっては脅威になることは明らかです。

ニューヨーク・タイムズは、「ロシア軍にとっての問題は、こうした無人艇の攻撃から防御する確実な手段がないということだ」との専門家の分析を伝えています。

ロシア軍は、侵攻開始後からアゾフ海の沿岸を広い範囲で支配していて、ウクライナ側が無人艇を発進させることができるのは、ウクライナ側が維持しているドニプロ川の河口よりは西側と見られます。

だとすれば、「ケルチ橋」までのかなりの長距離を、ロシア側に察知されないまま自由に移動できたことを示している、というのです。その距離は少なくともおよそ500キロはあると見られます。

これに対して、ロシア軍は18日、「ウクライナ南部のオデーサ付近にある無人艇の製造拠点などに対して報復攻撃を行った」と発表しました。

この攻撃では、ミサイルのほか、多くの無人機が用いられ、ウクライナ側は無人機32機を迎撃したと発表しました。

無人艇や無人機は、本来は建設現場での測量や医薬品の搬送など、人間の安全と豊かさのために開発されているものです。

しかし、現代の戦争では、それらが攻撃と破壊のために大量に用いられています。

このことがいかに本末転倒なことであるかを忘れてはならないと思います。