英 不法入国者の難民申請認めない法律成立へ 人権団体は批判

イギリスでフランスとの間のドーバー海峡をボートで渡るなどして不法に入国した人たちの難民申請を認めないとする法律が成立することになりました。

政府は一時的な受け入れ費用が財政を圧迫しているとしていますが、人権団体などは難民保護を定めた国際条約に違反していると批判しています。

イギリス政府によりますと、イギリスで難民申請をするためドーバー海峡をボートで渡ろうとした人は去年4万5000人を超え、5年前に統計をとり始めて以来最も多くなりました。

スナク政権は受け入れ施設の費用などが年間30億ポンド、日本円で5000億円以上かかり財政を圧迫しているとして、不法に入国した場合は原則として難民申請を認めず送り返すなどとする法案が、17日に議会を通過し成立することになりました。

スナク政権は犯罪組織が金銭と引き換えにドーバー海峡を渡るボートを手配しているほか、渡航者も政情が比較的安定している国から来る若者など実態は難民ではない人が多いと指摘し、不法入国の阻止を主要政策の1つに掲げています。

不法入国者をアフリカ東部のルワンダに移送する計画も打ち出し、裁判でその合法性が争われています。

18日には受け入れ費用削減のため建造した、難民申請中の人たちを収容する海上に浮かぶ施設が南部ドーセット州の港に到着しましたが、一連の政策については人権団体などが難民保護を定めた国際条約に違反していると批判を強めています。