G20 財務相・中央銀行総裁会議が閉幕 共同声明採択には至らず

インドで開かれていたG20の財務相・中央銀行総裁会議は2日間の討議を終え、世界経済の下振れリスクへの懸念を共有するとともに、途上国の債務問題の解決に向けた取り組みを進めていくことで一致しました。ただ、今回も共同声明の採択には至らず、G20としての協調には課題を残しました。

インド西部のガンディナガルで開かれていたG20の会議は、日本時間の18日夜、閉幕しました。

日本政府関係者によりますと各国は欧米などによる金融引き締めの長期化に伴って、世界経済の成長が下振れするリスクがあるという認識を共有しました。

また、インフレの進行や先進国の利上げなどによって途上国で政府債務の負担が膨らんでいる問題については、現在、G20やIMF=国際通貨基金などのもとで設けられている債務再編の枠組みを着実に進めていくことで一致しました。

一方で、参加国の全会一致が前提となっている共同声明は今回も採択できず、これで共同声明の見送りは6回連続になりました。

世界経済の懸念材料に対して一定程度、足並みをそろえることはできたものの、ウクライナ侵攻の長期化に伴うエネルギーや食料の価格高騰への対応など各国の利害が激しく対立する分野では折り合えず、G20としての協調には課題を残す形となりました。

鈴木財務相“ウクライナ侵攻めぐり一部参加国と根深い対立”

会議の閉幕後、鈴木財務大臣は現地で記者会見を開き「途上国や新興国の債務問題に関して日本が重要性を指摘してきた点でG20メンバーの合意が得られるなど一定の成果があった」と述べ、成果を強調しました。

一方、ロシアなどの反対で今回も共同声明が採択できなかったことについて「多くの国がロシアのウクライナ侵略を最も強い言葉で非難し、ウクライナとの連帯を改めて表明した。ただ、侵攻が始まってからG20ではこの問題が大きなアンカーとなり、その後、議長総括止まりという格好になっているのは事実だ」と述べ、ウクライナ侵攻をめぐって一部の参加国との間で根深い対立があるという認識を示しました。

ウクライナ侵攻めぐる立場の隔たりで共同声明まとまらず

会議の閉幕後に行われた記者会見で、議長国インドのシタラマン財務相は共同声明をまとめられなかった理由について、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐる、立場の隔たりを挙げました。

その後、発表した議長総括によりますと、中国が「地政学的な問題を議論する場ではない」と主張したほか、ロシアが一部の内容に合意しなかったとしています。

ロシアが合意しなかったのは「ほとんどの国がウクライナでの戦争を強く非難するとともに、戦争が人々に多大な苦痛をもたらし、世界経済のぜい弱性を悪化させていると強調した」などとする内容です。

シタラマン財務相はロシアがウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行停止を発表したことについて「黒海の航行を停止したり、中断したりするべきではないと複数の参加国が非難した」と述べました。

一方で、会議の主要テーマの1つ、途上国の債務問題をめぐっては、IMF=国際通貨基金や世界銀行とともに前向きな議論が行われたと成果を強調しました。