「ヘルパンギーナ」流行 患者数 過去10年で最多の状況続く

子どもがかかりやすく、発熱などの症状が出る感染症「ヘルパンギーナ」の流行が続いていて、7月9日までの1週間に報告された患者の数は、過去10年で最多だった前の週よりもさらに増加したことが国立感染症研究所のまとめでわかりました。

「ヘルパンギーナ」は夏に患者が増えるウイルス性の感染症で、5歳以下の子どもがかかりやすく、発熱のほか口の中に水ぶくれができたりのどが痛んだりといった症状が出ます。

国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告されたヘルパンギーナの患者の数は7月9日までの1週間で合わせて2万2980人となりました。

1医療機関当たりでは7.32人で、過去10年で最も多かった前の週の6.48人よりもさらに増加しました。

地域ごとでは、最も多い宮城県の23.2人をはじめ、岩手県や三重県など8つの道県で10人を超えていて、27の都道府県で警報レベルの「6人」以上となっています。

「RSウイルス感染症」も患者の多い状況続く

また、熱やせきなど、かぜのような症状が出る「RSウイルス感染症」の患者数は合わせて1万613人、1医療機関当たり3.38人で、引き続き患者の多い状況が続いています。

感染症が専門の国立病院機構三重病院の谷口清州院長は「この3年間は新型コロナウイルス対策が取られていたため、子どもがさまざまなウイルスに接しておらず、感染しやすい状況になっているとみられる。今の流行が収まっても新型コロナウイルスを含めた呼吸器感染症が夏休みを中心に広がるおそれもある。ウイルスと接する量を減らすためにも、マスクや手洗いの徹底、人との距離を保つことに気をつけてほしい」と話していました。

官房長官「感染防止対策に努めるよう周知」

松野官房長官は午後の記者会見で「RSウイルス感染症やヘルパンギーナの報告数は現在増加傾向にある。特にRSウイルス感染症は新生児や基礎疾患のある子どもは重症化しやすく注意が必要だ。受診したほうがいいか判断に迷った場合や、休日や夜間に具合が悪くなった場合は『子ども医療電話相談』を活用するよう促すとともに、せっけんによる手洗いなど感染防止対策に努めるよう周知したところで、引き続き感染状況を注視していきたい」と述べました。