クリミア橋 一部損壊で通行止め ロシア「無人艇による攻撃」

ロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアとロシアをつなぐ橋が、17日に一部損壊し、ロシア側は「ウクライナの無人艇により攻撃が行われた」と主張して、重大事件を扱う連邦捜査委員会が捜査を開始したと明らかにしました。

クリミアとロシア南部をつなぐ橋について、クリミアで活動する親ロシア派の幹部は17日早朝、「緊急事態が起き、通行止めとなっている」とSNSで発表し、橋をう回するよう呼びかけました。

現地からの映像では、2本の道路のうち、片方の橋桁が損壊して斜めになっているほか、もう一方の橋桁にも段差ができている様子が映っています。

ロシアの治安機関などでつくる「国家反テロ委員会」は17日、「午前3時5分、ウクライナの2つの無人艇により、橋への攻撃が行われた。テロ行為の結果、道路部分が損壊し、男女2人が死亡、子ども1人が巻き込まれた」と発表し、ウクライナ側による攻撃だとして、連邦捜査委員会が捜査を開始したと明らかにしました。

また、ロシア西部ベルゴロド州の知事は、死傷したのは、州内に住む夫婦とその娘だとSNSに投稿しました。

橋の損壊をめぐり、ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長は「橋へのミサイル攻撃はなかった」とSNSに投稿しました。

一方、イギリスの公共放送BBCやウクライナの一部メディアは、ウクライナ保安庁関係者の話として、ウクライナ軍や保安庁が関与したとする見方を伝えています。

この橋は5年前の2018年に完成し、ロシアにとって、戦略的に最も重要なインフラの1つとされます。去年10月には、爆発により橋桁が落下していて、ロシア側は、ウクライナ側によるテロ行為だと主張し、報復としてウクライナ国内の発電所など、エネルギー関連施設に対するミサイル攻撃を繰り返しました。

その後、ウクライナ側も爆発への関与を認めています。

ロシア大統領府 復旧を急いでいることを強調

ウクライナ南部のクリミアとロシア南部をつなぐ橋の損壊について、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「ウクライナ政府の仕業だ」とウクライナ側を非難し、「こうした悲劇が繰り返されないよう、みなが取り組んでいる」と述べました。

そのうえで「プーチン大統領はフスヌリン副首相に橋の修復作業を指示した。副首相は現地の視察に向かい、今夜、プーチン大統領に報告する」として、政府として状況の確認や復旧を急いでいることを強調しました。

一方、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行の停止を発表したことと、橋の損壊との関係について問われると「一切関係のない出来事だ。ロシアの立場はプーチン大統領が以前から示していた」と述べました。