ウィンブルドン 小田凱人 車いすの部 男子シングルスで初優勝

テニスのウィンブルドン選手権、車いすの部の男子シングルス決勝で世界ランキング1位の17歳、小田凱人選手がイギリスの選手にセットカウント2対0でストレート勝ちし、初優勝を果たしました。小田選手は全仏オープンに続いての四大大会制覇となりました。

ウィンブルドン選手権は大会14日目の16日、車いすの部の男子シングルス決勝が行われ、世界1位で17歳の小田選手と世界2位でイギリスのアルフィー・ヒューウェット選手が対戦しました。

第1セット、小田選手は互いに1回ずつブレークを奪って迎えた第9ゲームに、巧みなドロップショットやコースを狙ったバックハンドのショットを決めて2回目のブレークに成功し、続く第10ゲームも取ってこのセットを6-4で取りました。

第2セットは力強いサーブや精度の高いショットで相手を圧倒し、第3ゲームから一気に6ゲームを連取して6-2で取りました。

この結果、小田選手はヒューウェット選手にセットカウント2対0でストレート勝ちし、初優勝を果たしました。

小田選手は全仏オープンに続いての四大大会制覇となりました。

優勝が決まった瞬間、小田選手は何度も両手を上げて満面の笑みを浮かべ、会場からは大きな拍手が起こりました。

地元のヒューウェット選手は観客から大きな声援を受けましたが、試合を通してダブルフォルトの数が11となるなどサーブにミスが目立ちました。

また、車いすの部、女子ダブルスでは決勝で上地結衣選手と南アフリカのケゴタトソ・モンチャネ選手のペアが、オランダのディーデ・デ フロート選手とイエスカ・グリフィユン選手のペアと対戦しました。

上地選手のペアは第1セットを1-6、第2セットを4ー6で取られ、セットカウント0対2のストレート負けで準優勝でした。

持ち味に加え多彩な技が光る

17歳の小田選手は四大大会の男子シングルスを史上最年少で制した全仏オープンからわずか1か月あまりとは思えない成長ぶりを見せ、2大会連続の四大大会制覇を果たしました。

今大会は全仏オープンの優勝を支えた持ち味の強烈なサーブやフォアハンドのショットに加え多彩な技が光りました。

準決勝と決勝ではともに勝負どころで意表を突くドロップショットを見せて流れを引き寄せ勝ちにつなげました。

さらに「もともとすごく苦手だった」というバックハンドの精度も高め、決勝では自身の憧れのレジェンド、国枝慎吾さんをほうふつとさせるバックハンドのダウンザラインのショットを成功させました。

「ショットの選択肢を増やすことで自分のパワーショットの効果が何倍にもなる」と話していた小田選手。

そのことばどおり今大会ではこれまでと同様に力強いサーブで主導権を握りながら要所で高い技術を披露し相手を翻弄しました。

急成長を続ける17歳。

車いすテニス界の新たな時代の到来を期待させる小田選手から今後も目が離せません。

「夢のようでとてもうれしい」

初優勝を果たした小田選手はコート上で英語でスピーチし、「このようなすばらしいサポートとコートは想像していなかった。夢のようでとてもうれしい」と喜びを語りました。

そのうえで「ヒューウェット選手に感謝したい。彼はとても強い選手で対戦するときはいつも多くのことを考える」と話しました。

そして、「本当だったらシャンパンを開けたいがまだ17歳なのでそれはできないので、チームと一緒に炭酸水を飲みたい」とジョークを飛ばして会場の大きな笑いを誘いました。