秋田 五城目町 400棟以上浸水 全域断水も「内水氾濫で被害」

秋田県五城目町は大雨による川の氾濫や住宅への浸水被害が発生し、断水も発生しています。

現地を確認した専門家は、川の氾濫に加えて、長時間、雨が降ったために降った雨が流れずにあふれる「内水氾濫」が起きたため、浸水被害が拡大したと指摘しました。

川が氾濫 住宅は浸水 断水被害も

五城目町では15日、町内を流れる馬場目川や内川川の氾濫が確認され、住宅などに土砂や水が流れ込む被害が発生しています。

今回の大雨で五城目町では水につかった車の中から60代の男性が見つかり、死亡が確認されました。
また、住宅の浸水は合わせて489棟で確認されているということです。

また、浄水場が浸水したため、町内はほぼすべてで断水しているということです。
復旧のめどはたっておらず、給水車が出て対応にあたっています。

専門家「内水氾濫も起き、被害が拡大」

これを受けて、河川工学を専門とする秋田大学の渡邉一也准教授が町に現地調査に入り、川が氾濫した地点を確認しました。

このうち、馬場目川にかかる橋では▽氾濫した当時の水位や水の勢いを調べるために、流されてきた木の枝の大きさを測ったり、▽水がどこまであふれたかを調べるために川の流れ方を撮影したりしていました。

渡邉准教授は、川の氾濫に加えて、長時間、雨が降ったために、降った雨が流れずにあふれる「内水氾濫」も起き、浸水被害が拡大したと指摘しました。

そのうえで、「氾濫や浸水の起こり方は場所や時期によっても異なるため、被害の状況をしっかり把握し、調査や研究の結果を今後の被害を防ぐために役立てたい」と話していました。

職員や住民 後片づけに追われる

五城目町では職員や住民が片付けなどの作業に追われています。

馬場目川を水源とする五城目町浄水場では、取水ポンプのある施設が1メートル20センチほど水につかってポンプが動かせなくなり、生活用の水の供給ができなくなっています。

この施設では、入り込んだ土砂のあとが人の胸ほどの高さに残っていたほか、窓も割れていて、午前中、職員が泥や水をかき出していました。

また、同じく町内を流れる内川川沿いの住宅では、1階の床の上まで水や土砂が流れ込み、近所に住む人たちが協力して片づけを行っていました。

この家に住む81歳の沢田石敏男さんは「かなりの被害が出ることは覚悟していましたが、家の中にまで土砂が来るとは思わなかったのでびっくりしました。片づけが大変ですが、高齢で力仕事が難しく、ボランティアの皆さんに頼るしかない状況です」と話していました。

酒蔵が井戸水を提供

五城目町にある酒造会社「福禄寿酒造」では、断水が発生している地区の人たちに、日本酒の仕込みに使う井戸水を16日午後から無料で提供しています。

ホースでくみ上げられた水は店の前に置かれた2つの大きな容器にためられていて、近くに住む人たちがクーラーボックスなどに入れて持ち帰っていました。

水をくみに来た5人暮らしの50代の男性は「水道水が出ないと食器を洗うこともトイレや風呂を使うこともできないので、水を配ってもらえるのは助かります」と話していました。

福禄寿酒造の渡邉康衛社長は「断水で困っている方はたくさんいると思います。今のところ水がなくなる心配はないので、ぜひ足を運んでほしいです」と話していました。

酒造会社では、容器が外にあり、雨水などが混ざる可能性もあることから、井戸水はトイレや風呂の水として使うよう呼びかけています。