新型コロナ 尾身会長「沖縄のような状況ほかの地域にも」

新型コロナウイルスの感染状況について、政府の分科会の尾身茂会長は16日放送されたNHKの日曜討論で、「沖縄県のような状況がほかの地域にも広がっていくことは十分に考えられる」として、全国的な感染の増加傾向は当面続くとみられるという見解を示しました。

この中で尾身会長は新型コロナの現在の感染状況について、「新規感染者数だけでなく、入院者数や重症者も増えてきている。新型コロナが『5類』に変更されてから接触機会が増えたことや、自然感染やワクチンによる免疫が時間とともに下がってきたことなどが理由だと考えられる。どこまで感染者が増えるかは分からないが、この増加傾向は続くと考えるべきだ」と述べました。

特に沖縄県で感染者数が多くなっていることについては、「沖縄県はほかの地域よりもワクチンの接種率が低いなど特有の状況もあるが、それだけでは説明がつかない。大きな傾向として沖縄のような状況がだんだんと北にいき、ほかの地域にも広がっていくことは十分考えられる」と指摘しました。

また、今後の新型コロナ対策のあり方について問われると、「経済と感染対策の両立というのは当然、大事で、今はすぐに行動制限をするような時代ではないと思う。その上で大事なことは、新型コロナは致死率は下がってきているが、感染の伝ぱ力が強くなっていて、感染者数が増え、亡くなる人の数も増え続けている。亡くなっているのはほとんどが高齢者なので、今、求められているのは高齢者の死亡をどれだけ減らすことができるかということだ」と述べ、経済とのバランスを取りながら対策を取るべきだとする見解を示しました。

その上で尾身会長は「ウイルスの致死率や感染力、医療ひっ迫の度合いという指標を見ながら、なにが起きたときどんな対応をするかという、おおまかな戦術を作る必要がある。国内でのワクチン開発をどうするか、感染症に強い人材の養成をどう進めるか。大きなグランドデザインを今のうちから作っておくことが大事だ」と述べました。