秋田 雄物川 雨ピーク後も氾濫のおそれ 過去には繰り返し氾濫

国土交通省によりますと、この大雨で秋田市を流れる雄物川下流は椿川水位観測所で「氾濫危険水位」に達しました。

雄物川上流も15日夕方に大仙市の神宮寺観測所で氾濫危険水位に達しています。

国と気象台は洪水の危険性が非常に高まっているとして、「氾濫危険情報」を出して厳重に警戒するよう呼びかけています。

自治体の避難情報を確認するとともに、浸水のおそれのない場所に移動するなど、安全を確保するようにしてください。

専門家「雨のピーク後も氾濫のおそれ」

一級河川の雄物川で氾濫の危険性が非常に高くなっていることについて、河川の専門家は、雨のピークがすぎてからも氾濫のおそれがあるとして警戒を呼びかけています。

河川の氾濫のメカニズムに詳しい東京理科大学の二瓶泰雄教授は、特に雄物川の下流は流れがゆるやかな分、水位がゆっくりと上がり、雨のピークから遅れて氾濫するおそれがあると指摘しています。

また、雄物川の支流について、「雄物川の水位がこれだけ高いと、周りの中小河川の水が雄物川に流れ込めずに溢れる『バックウォーター現象』が起きている可能性もある」と述べました。

そのうえで、「洪水時には車で移動して亡くなるケースも過去にたびたび起きている。ふだん通れる場所が崩れているおそれもあり、川には近づかないでほしい」と呼びかけています。

雄物川は過去に繰り返し氾濫

国土交通省によりますと、雄物川は秋田県内を流れる長さ133キロの1級河川で、湯沢市や横手市、大仙市、秋田市などを通って日本海に注いでいます。

流域面積は4710平方キロメートルと東北で4番目に広く、流域全体でおよそ60万人が暮らしています。上流部は急しゅんな一方、中流にさしかかると勾配が緩やかになり、複数の支流が合流します。一部では川幅が狭くなっているところもあり、蛇行しながら下流に向かいます。

雄物川ではこれまで、前線の停滞や台風による大雨で氾濫を繰り返してきました。1894年(明治27年)8月には1万8000棟以上が浸水し、死者・行方不明者は334人にのぼりました。

最近では2017年7月に前線の影響で記録的な大雨となり、流域平均の雨量が2日間で220ミリに達しました。このときは堤防が整備されていない中流部に被害が集中し、およそ2000棟が浸水しました。翌8月にも中流部で再び氾濫し建物や農地が水につかりました。