【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(16日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる16日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

イギリス国防省“ロシア軍将校のあいだで不満広がる”

イギリス国防省は15日、ロシア軍の将校のあいだで不満が広がっているとの分析を発表しました。ロシア軍部隊の司令官を務めていたポポフ少将が前線の悲惨な状況を軍の上層部に伝えたあと解任されたとする音声が今月12日に公開されました。イギリス国防省は「多くの将校が軍上層部に対して抱いているであろう深刻な不満に注意が向けられた」と指摘したうえで「ショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長にとってますます大きな問題となりそうだ」と分析しています。

またアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は15日、東部バフムトなどで活動してきた別の部隊の少将も解任されたと伝えられているとして「反抗的な指揮官の処分の一環であり、ロシアの指揮系統の乱れが加速していることを示唆している」と指摘しました。

ドネツク州知事“市民2人が死亡”

ウクライナ東部ドネツク州の知事はロシア側による攻撃で市民2人が死亡したと16日に発表しました。

また、南部ザポリージャ州の知事はSNSでロシア軍が州内13の集落を攻撃し、市民7人がけがをしたと投稿し、東部や南部で激しい戦闘が続き、被害が相次いでいます。

韓国ユン大統領がウクライナを電撃的に初訪問

韓国のユン・ソンニョル大統領は15日、初めてウクライナを電撃的に訪問し、キム・ゴニ夫人とともに、ロシア軍による侵攻で多くの市民が犠牲になった首都キーウ近郊のブチャなどを訪れました。

このあとユン大統領は、ゼレンスキー大統領と2時間近くにわたって会談し、終了後の共同記者発表で、ウクライナに対し、安全保障分野や人道援助、それに復興などの包括的な支援を進めることで合意したことを明らかにしました。

また、ユン大統領は、韓国がウクライナに殺傷能力の高い兵器を供与していない中で、防弾チョッキやヘルメットなどの軍事物資については引き続き提供していく考えを強調しました。

これに対し、ゼレンスキー大統領は、エネルギーや交通インフラなど、経済協力を推進したい分野を具体的に挙げ、韓国との連携強化に期待を示しました。

プーチン大統領 南ア大統領と電話会談 欧米側の制裁批判か

ロシア大統領府は15日、プーチン大統領が南アフリカのラマポーザ大統領と電話で会談したと発表しました。

ロシア大統領府によりますと、会談では、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐるロシアとウクライナの合意について、プーチン大統領はロシア産の農産物と肥料を輸出するうえで障害が取り除かれていないと強調したとしていて、欧米側の制裁措置を改めて批判したとみられます。

ウクライナ産の農産物の輸出をめぐっては、今月17日に合意の期限が迫っていて、仲介役のトルコや国連が合意延長に向けた働きかけを強めていますが、プーチン大統領は、ロシア産の農産物輸出などをめぐる対応が十分でないとして、延長することにはまだ応じていないものとみられます。

また、ロシア大統領府の発表では、会談で、ラマポーザ大統領からは来月に南アフリカで開催する予定のBRICS=新興5か国の首脳会議の準備状況について、プーチン大統領に伝えたとしています。

詳細は明らかにしていませんが、首脳会議をめぐっては、プーチン大統領に対してICC=国際刑事裁判所がウクライナへの軍事侵攻に関し逮捕状を出していることから、プーチン大統領が対面での出席を表明する場合、ICCの加盟国である南アフリカがどのような対応をとるのかが注目されています。