東北 16日にかけ大雨のおそれ 北陸・新潟も土砂災害に警戒を

停滞する前線の影響で東北では局地的に雨雲が発達しています。東北ではこれから16日にかけて北部を中心に非常に激しい雨が降って大雨となるおそれがあります。夜の暗い時間に雨が強まると見込まれ、14日夜は安全な場所で過ごすようにしてください。

気象庁によりますと、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、日本海側では雨が降っていて、秋田県など東北北部では局地的に雨雲が発達しています。

前線はこのあと東北北部付近に停滞する見込みで、暖かく湿った空気の流れ込みが強まり活動が活発になると予想されています。

このためこれから16日にかけて秋田県や青森県など東北北部では激しい雨が降り、特に15日の朝以降は非常に激しい雨が降って警報級の大雨となるおそれがあります。

また、北陸や新潟県でも15日の明け方にかけて雨が降る見込みで、これまでの雨で地盤が緩んでいるところもあり、引き続き土砂災害に警戒が必要です。

15日夕方までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで
▽東北で200ミリ
▽新潟県で120ミリ、
▽北陸で60ミリと予想されています。

また、16日夕方までの24時間には、いずれも多いところで
▽東北で100ミリから150ミリの雨が降る見込みです。

また、低気圧が近づく北海道でも雨が強まる見込みで、15日夕方までの24時間に多いところで150ミリの雨が降ると予想されています。

気象庁は土砂災害や低い土地の浸水、川の増水などに警戒するよう呼びかけています。

東北などでは夜の暗い時間に雨が強まると見込まれ、16日にかけて広い範囲で災害のリスクが高まるおそれがあります。

自治体のハザードマップで自分が住む地域の災害のリスクや、いざというときの避難場所などを確認し、早めの備えを進めるとともに、14日夜は安全な場所で過ごすようにしてください。

過去にも梅雨末期に記録的な大雨 大きな川の氾濫も

東北では、過去にも梅雨末期に記録的な大雨となっていて、ここ数年、大きな川の氾濫もたびたび発生しています。

気象庁によりますと、2020年7月末には、北日本付近に停滞する梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んで、山形県を中心に大雨となり、最上川の中流で氾濫が発生して、およそ700棟が浸水しました。

また、2017年7月には、東北北部に停滞した前線の活動が活発となり、秋田県由利本荘市北部付近では、1時間およそ100ミリの猛烈な雨を解析したほか、各地で総雨量が300ミリを超える記録的な大雨となりました。

この雨で、秋田県内を流れる1級河川の雄物川が氾濫したほか、雄物川に注ぐ支流でも水があふれて浸水被害が相次ぎました。

気象庁によりますと、15日から16日にかけては、大陸からの西寄りの風と太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気が合流して、大量の水蒸気が前線が停滞する東北に流れ込む見込みです。

広い範囲で大雨となれば、流域全体に降った雨が本流に集まることで、大きな川の水位が時間をかけて上昇し、氾濫するおそれもあります。

また、雨が長く続くことで、土砂災害の危険性も高まるおそれがあります。

雨が急激に強まると、災害の危険度が急速に高まる可能性があるほか、雨が急に強まっていなくても、長く降り続くことで「長雨蓄積型」の災害が発生するおそれもあります。

気象庁は、ホームページの「キキクル」などで、浸水や洪水、土砂災害の危険度をこまめに確認し、自治体からの避難の情報に注意するよう呼びかけています。

災害時 “何よりも自分自身の安全確保 最優先に行動を”

前線の北上に伴って、15日から16日にかけては東北で大雨が予想されています。

災害時には地域で助け合う「共助」も有効とされていますが、活動中に土砂災害や洪水に巻き込まれて死亡するケースが相次いでいて、専門家は「災害が起きている中での活動は慎重でなければならず、何よりも自分自身の安全確保を最優先に行動してほしい」と呼びかけています。

富山県では、12日の夜遅くに線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となり、南砺市の山あいの集落では、地域の住民に避難を促していたとみられる市議会議員の男性が土砂崩れに巻き込まれて死亡しました。

地域の住民を助けに行ったり、避難誘導したりする共助の活動中に命を落とす、いわゆる「共助死」は、これまでにも確認されていて、6月には和歌山県で、近所に住む女性の避難を手伝おうとしたとみられる男性が冠水した道路で流され、亡くなりました。

豪雨災害の被害などに詳しい静岡大学の牛山素行教授のまとめによりますと、風水害による共助死は、この20年余りで少なくとも11人にのぼり、西日本豪雨以降の5年間は、2020年を除いて毎年、起きているということです。

牛山教授は「富山県の現場近くには、川が流れ氾濫の危険性もあり、おそらく尋常でない状況のなか避難を呼びかけようとされた気持ちは当然で理解できる。しかし、前線による大雨は、ピンポイントに雨が強まる時間帯や場所を予測するのが難しく、状況も刻々と変わるため、まずは何よりも自分自身の安全確保を第一に行動することが大切だ」と指摘しています。

そのうえで、「ハザードマップなどで、事前に自分が住む地域の災害のリスクを確認し、気象庁の『キキクル』などを活用して、危険な状況を示す紫や黒の表示がないかなど、リアルタイムに把握して早めに避難することがとても重要になる」と話していました。

さらに、直接助けに行くのが難しい場合にできることとして、「電話で身の安全を確保する方法を伝えるなど、現場に直接立ち入らず呼びかけることなどを考えてほしい」と話しています。