4年ぶり花火大会 クラウドファンディング活用で開催へ 千葉

夏の風物詩、花火大会。
新型コロナの中止をへて4年ぶりの再開を目指したものの、人件費の高騰などから思うように資金が集まらず、取りやめるところも出ています。
こうした中、千葉県柏市は、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで不足額の倍近い資金を集め、花火の種類を増やしたり、音楽に合わせた演出を取り入れたりすることになりました。

柏市と隣の我孫子市などが開いている「手賀沼花火大会」は例年およそ40万人が訪れる地域の夏の風物詩でしたが、新型コロナなどの影響で去年まで3回中止されました。

ことし、4年ぶりの開催に向けて準備を進めようとしたところ、運営資金が柏市側だけで前回より500万円ほど必要なことがわかりました。

影響したのは4年の「ブランク」と物価や人件費の高騰です。

この4年間に会場近くの「道の駅」が拡張されるなどしたため周辺の交通量が増えました。

久しぶりの開催で多数の見物客も見込まれることから警備員の数を1.5倍に増やす必要があり、人件費の高騰も重なりました。

さらに見物客を誘導する木製の案内板は、倉庫で保管し続けていたため劣化してしまい、60枚のうち40枚は廃棄せざるをえなくなりました。

長期的に使えるようアルミ製の案内板を検討したところ、物価高の影響もあり、木製のものより高くなることがわかりました。

このため柏市が取り入れたのは、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングです。

ことし4月から資金を募ったところ、目標額の150万円に対し、のべ200人近くから900万円以上の寄付が寄せられたということです。

想定を上回る資金が集まったため、「ウルトラジャンボスターマイン」という巨大な花火を打ち上げ、感謝の気持ちを伝えることにしています。

柏市商工振興課の清水直紀主査は「多くの寄付をいただき、本当にありがたい。安心安全な大会のために運営に万全をつくし、演出も満足いただけるよう準備をしているので、楽しんでいただきたい」と話していました。

なぜ想定を上回る寄付が集まったのか?

想定を上回る寄付が集まったことについて、柏市は「使いみちを『花火大会』に限定したため、寄付しやすかったのではないか」と分析しています。

また、返礼品を受け取ることができる、ふるさと納税を活用したことも、プラスに働いたとみていて、寄付した人のおよそ8割は市の外に住んでいるということです。

その一方、返礼品を受け取ることができない地元の住民の寄付も少なくなく、4年ぶりの花火大会への期待が感じられたということです。

寄付金とともに寄せられた応援のメッセージには「子どものころから毎年見ていたので楽しみです」とか、「コロナ禍で生まれた子どもたちに初めての花火大会を見せたい」といった声のほか、「柏を離れた今でも毎年開催を心待ちにしていた。開催が決まったときには鳥肌が立った」などという声もありました。

資金難で中止の花火大会も

一方、資金を集めることが難しいとして開催を中止した花火大会もあります。

千葉県御宿町の「おんじゅく花火大会」は、毎年1500発の花火を打ち上げる夏の風物詩として地元で親しまれ、ことしは主催する地元の観光協会などが4年ぶりの開催を目指していましたが、資金不足を理由として中止を決めました。

運営費用は例年、地元の企業などからの寄付でまかなってきましたが、人件費などが高騰する一方で地域経済が新型コロナの影響から回復しておらず、資金を集めることは難しいと判断したということです。

地元の観光協会は「春ごろまでは4年ぶりの開催を目指していたが、人口規模も小さい町では新型コロナによる経済への影響は続いていて、中止を決断せざるをえなかった」としています。