人工中絶めぐり米軍人事決まらず 米大統領 共和党に対応求める

アメリカでは人工妊娠中絶をめぐる野党・共和党議員1人の反対によってアメリカ軍の幹部260人以上の人事が決まらない事態に陥っています。バイデン大統領は「アメリカの安全を危険にさらしている」と批判し、共和党に対応を求めました。

アメリカ国防総省は、女性兵士の中絶の権利を擁護するとして、手術のために中絶が厳しく制限されている州からほかの州に移動する際の旅費を補助する政策を打ちだしました。

これに野党・共和党のタバービル上院議員1人が問題だとして、議会上院で全会一致でまとめて承認することが通例となっている軍幹部の人事承認手続きをすべて拒んでいます。

国防総省によりますと、これにより260人以上の軍幹部の承認が滞っているということです。

このうち海兵隊ではトップの総司令官が承認されずに不在になるという100年以上なかった異常事態となっています。

バイデン大統領は訪問先のフィンランドで13日、記者会見し「アメリカの安全を危険にさらしている。国内の社会問題の論争を外交政策に持ち込むのはとんでもないことだ」と述べて批判し、共和党に対応を求めました。

アメリカ軍は中国の軍事力増強などに対応が迫られており、バイデン政権としては事態の打開を急いでいます。