EU 日本産食品の輸入規制撤廃 放射性物質の監視継続求める

EU=ヨーロッパ連合は、東京電力福島第一原発の事故のあとから続けてきた日本産の食品に対する輸入規制をすべて撤廃すると発表しました。これまでの日本の取り組みを評価する一方で、福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に流す計画を念頭に、日本政府に対し国内の放射性物質の監視を続けるよう求めています。

EUは福島第一原発の事故のあと、福島や宮城など10の県で生産される一部の水産物や山菜などを対象に、放射性物質の検査証明書の提出を求める輸入規制を行ってきましたが、13日、ベルギーで開かれた日本との定期首脳協議にあわせて輸入規制をすべて撤廃すると発表しました。日本とEU加盟国が行ってきた食品検査の結果が良好だったことによるとしていて、規制は8月にも完全に撤廃されることになります。

記者会見でEUのフォンデアライエン委員長は、科学的根拠やIAEA=国際原子力機関の評価に基づいて決断したと強調するとともに「福島の現状をタイムリーかつ、透明性のある方法で伝えてくれた日本の当局に感謝したい」と述べ、日本のこれまでの取り組みを評価しました。日本産の食品の輸入規制をめぐってはEUのほか、中国や韓国などあわせて12の国と地域が規制を続けてきましたが、今回の決定を受けてEU加盟国ではないスイスやノルウェーなどヨーロッパの4か国も規制を撤廃するものとみられます。

一方でEUは、福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に流す日本の計画を念頭に「処理水が放出される場所の近くの魚や水産品、海藻に含まれる放射性物質の監視が重要だ」と指摘していて、日本政府に対し今後も国内の放射性物質の監視を続けるよう求めています。