福岡 久留米 内水氾濫で1m以上浸水か 専門家が現地調査

記録的な大雨で、広い範囲で浸水した福岡県久留米市の被害について、専門家が現地調査を行い、降った雨が流れずにあふれる、内水氾濫が発生して、1メートル以上浸水していたことが分かりました。久留米市では内水氾濫の被害が毎年、発生していて専門家は「住民が早い段階で避難の判断ができるよう、自治体と連携した対策が必要だ」と指摘しています。

福岡県久留米市では、今回の記録的な大雨で九州最大の一級河川、筑後川に流れ込む複数の支流の周辺で、住宅などが浸水する被害が起きていますが、詳細は、まだ明らかになっていません。

過去にも久留米市で被害調査をした経験のある山口大学の山本晴彦特命教授は、13日午後、金丸川と池町川の流域で浸水の痕跡の確認や、住民への聞き取りを行いました。

その結果、浸水は、標高7メートル以下の特に低い場所で発生し、筑後川の流域で大雨となったために、支流の水位が上昇し、降った雨が川へ流れずにあふれる、内水氾濫が発生したと見られることが確認できました。

壁に残された植物の痕跡などから、浸水は深いところで地面から1メートル30センチほどに達していたとみられるということです。

久留米市では2018年の西日本豪雨以降、おととしまで、4年連続で内水氾濫による浸水の被害が起きています。

また、山本特命教授が、被害を受けた住民に聞き取りを行い、1階の床上20センチほどまで浸水した70代の男性は「胸まで水につかりながら、仕事先からなんとか帰ってきました。道路の冠水は昔からありましたが、ここ数年の雨は特にひどく、2018年と2021年に続いて、床上浸水は3回目です。もうトラウマになっていて、雨が強いときは眠れません」と話していました。

また、自宅の手前まで水がきたという70代の女性は「川の水位をインターネットで調べていて、今回も内水氾濫が起きそうだったので、車やバイクを別の場所に逃がして、畳も2階に上げました。大雨のたびに何度も繰り返していて疲れます」と話していました。

山本特命教授は「2000棟以上が床上まで浸水した2021年と比較しても、浸水の深さは10センチ低い程度で、今回も同じような範囲で被害が出ている可能性がある。排水機場のポンプの増設や放水路の整備などハードの対策だけで被害を防ぐのには限界があり、住民が早い段階で避難の判断ができるよう、自治体と連携した対策が必要だ」と話しています。