岸田首相 EUとの定期首脳協議終わる

ベルギーを訪問中の岸田総理大臣はEUとの定期首脳協議に臨みました。EU側から、福島第一原発の事故後続く、日本産食品の輸入規制を撤廃する方針が伝えられたものとみられます。また、協議では安全保障面での協力拡大に向けた共同声明もまとめたとみられます。

岸田総理大臣とEU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領、フォンデアライエン委員長との定期首脳協議は、日本時間の13日午後7時すぎから1時間半余り行われました。

協議では東京電力福島第一原発の事故のあとから続く、日本産食品に対する輸入規制をめぐって意見が交わされました。

日本側はこれまで食品の安全性について説明を重ね、EUが先月、規制の撤廃を加盟国に提案していることもあり、13日の協議でEU側から正式に撤廃の方針が伝えられたものとみられます。

また、協議では覇権主義的な行動を強める中国を念頭に、安全保障面での協力拡大に向けた新たな共同声明もまとめたとみられます。

声明にはサイバー攻撃への対処能力の向上のほか、通信衛星の共同運用や技術の共同開発、それに安全保障を担当する閣僚どうしの新たな定期協議の枠組みを創設することが盛り込まれることになっています。

日本産食品の輸入規制 EUなどの現状は

EUの規制は段階的に緩和されてきており、現在は福島県などから輸出される一部の食品に放射性物質の検査証明書の提出を求めています。

今回、規制を撤廃することで、EUに加盟する27か国に対しては、証明書がなくても日本から食品を輸出できるようになります。

また、EUに加盟していないヨーロッパのアイスランド・スイス・ノルウェー・リヒテンシュタインも同様の規制をしていますが、EUに準じた対応をとる考えを示していることから、撤廃が期待されています。

その一方で、アジアの中国・韓国・台湾・香港・マカオは品目や産地によって輸入停止といった厳しい措置もとっていて、日本政府は今後も規制の緩和・撤廃を粘り強く働きかけていくことにしています。

官房長官「撤廃実現すること期待」

松野官房長官は午後の記者会見で、「政府としてはあらゆる機会を捉え、さまざまなレベルからEUや加盟国に対し、日本産食品の輸入規制の早期撤廃に向けた働きかけを行ってきた。今回の見直しで撤廃が実現することを期待している」と述べました。

また、「安全保障や経済分野などで連携を強化するとともに、ロシアによるウクライナ侵略への対応やインド太平洋情勢などへの対応でEUと連携を確認する考えだ」と述べました。