NATO首脳会議が閉幕 ウクライナ加盟見通し示さず G7長期支援へ

NATO=北大西洋条約機構の首脳会議は12日閉幕し、最大の焦点となっていたウクライナの加盟について、具体的な見通しは示しませんでした。一方で、G7の各国が加盟が実現するまでの間、ウクライナを守るため長期的な支援を行う方針を表明しました。

バルト三国のリトアニアで開かれていたNATOの首脳会議は12日、NATO加盟国とウクライナが対等の立場で話し合う場として新たに設けられたNATOウクライナ理事会の初めての会合がウクライナのゼレンスキー大統領も参加して行われるなど、2日間の日程を終え、閉幕しました。

今回の首脳会議で最大の焦点となっていたウクライナの加盟について、NATO加盟国は、一部の手続きを簡略化することで合意したものの、加盟手続きの開始は見送り、今後の具体的な見通しも示しませんでした。

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの加盟は、ロシアとの直接的な衝突を招きかねないとして、慎重な立場のアメリカやドイツなどの意見が反映されたとみられます。

一方で、ウクライナが加盟が実現するまで必要だとして求めてきた「安全の保証」に対しては、首脳会議に合わせてG7の各国が共同宣言を発表し、将来のロシアによる侵略を抑止することができるような持続可能な軍事力を確保することなどウクライナを守るため長期的な支援を行う方針を表明しました。

記者会見で、ストルテンベルグ事務総長は「今後のロシアの侵攻を抑止することにつながる」とG7の表明を歓迎したうえで、「ウクライナはかつてないほどNATOに近い」と述べ、引き続きウクライナを支援していく姿勢を強調しました。

ゼレンスキー大統領「NATO加盟に向け安全保障の基盤築かれた」

ゼレンスキー大統領はビデオメッセージを公開し「独立以来初めて、ウクライナのNATO加盟に向けた安全保障の基盤が築かれた」と述べて評価しました。その上で「これは世界の民主主義国家のトップ7によって確認された」と述べました。

こうした中、ロイター通信などによりますとウクライナでは、13日未明、キーウ市内に3夜連続で無人機による攻撃があり、1人が死亡し、少なくとも4人がけがをしました。

ロシア軍の無人機攻撃はNATOの首脳会議と重なり、NATO側にウクライナへのさらなる軍事支援を思いとどまらせるねらいがあるとの見方もでています。