外来生物 アカミミガメの生息実態 AIで市民参加型の大規模調査

「条件付特定外来生物」に、6月に指定されたアカミミガメの生息実態を把握するため、自然保護のNGOが、AIを活用したアプリを使った市民参加型の大規模調査を7月から始め、法規制による効果の検証に生かすことにしています。

調査は自然保護の活動をするNGO、日本自然保護協会が10年おきに行っているもので、3回目の今回は「条件付特定外来生物」に6月に指定された外来種のアカミミガメの生息実態を把握しようと、環境省の事業を請け負って7月1日から始めました。

調査は、一般市民の参加を呼びかけ、カメの種類を識別するAIの画像診断を活用したスマートフォンアプリを使って、公園や池に生息する野生のカメの画像を集めて分析します。

10年前の調査では、およそ6500匹の野生のカメの情報のうち
▽64%をアカミミガメが占めた一方で
▽日本固有のニホンイシガメは9%にとどまっていて、
この10年間の変化を把握することで、法規制による効果の検証に、今後、生かしていきたいとしています。

情報提供は9月末まで受け付け、分析結果は、ことし11月ごろ公表したいとしています。

日本自然保護協会の大野正人さんは「AIを使って種類の判別が簡単になったので、親子などに参加してもらい、外来種のアカミミガメが水草や在来のカメに及ぼしている影響について、調査を通じて考えてもらいたい」と話しています。

調査が固有の生態系守る 外来種規制のきっかけに

環境省によりますと、アカミミガメは、1950年代にペットとして日本に輸入され、1960年代後半から野外に捨てられるなどしたものが、繁殖力の強さから急速に増えていったということです。

日本自然保護協会が初めて2003年に行った調査では、延べ5966匹の野生のカメの情報が寄せられ、このうち
▽外来種のアカミミガメは62.1%
▽江戸時代ごろから日本に生息しているとされるクサガメは21%
▽日本固有のニホンイシガメは9.8%でした。

2013年の2回目の調査では、延べ6468匹のうち
▽アカミミガメは64.1%
▽クサガメは20.3%
▽ニホンイシガメは9%で、
アカミミガメの割合には大きな変化は見られませんでしたが、20年前は都市部の池や堀などでの生息情報が多かったのに比べて、10年前の調査では、郊外や田園地帯での情報が増え、団体では、生息地が広がったと分析しています。

環境省によりますと、団体によるこうした調査結果が、固有の生態系を守るために、外来種のアカミミガメを規制する改正外来生物法の議論が始まるきっかけの一つになったということです。