【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(13日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる13日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア外務省「NATOは冷戦時代のやり方に後戻り」

ウクライナ国防省のマリャル次官は12日、東部の前線でロシア軍の前進を食い止めた一方、南部ではウクライナ軍が攻勢を継続していると主張しました。

ウクライナ空軍は13日、首都キーウ近郊などに飛来した無人機20機を迎撃したと発表しましたが、キーウの市長は、攻撃のあと発生した火災の現場から1人が遺体で見つかったと明らかにしました。

また、南部ヘルソン州の地元当局などは、12日から13日にかけて行われたロシア軍の砲撃により、あわせて3人が死亡したと発表しました。

地元メディアは、1日の間にキーウのほか国内11の州に攻撃が相次いだと伝え、市民への被害も続いています。

一方、ロシア外務省は12日、ウクライナへの支援で結束をアピールしたNATO首脳会議について声明を発表し「NATOが冷戦時代のやり方に後戻りしたことの表れだ」と主張したうえで各国が表明した追加の軍事支援について非難しました。

その上で「ロシアの安全と利益に対する挑戦や脅威を考慮し、あらゆる手段を使って対応する。軍と防衛体制を引き続き強化する」としてNATOに対抗していく姿勢を強調しました。

キーウ市内 3夜連続で無人機による攻撃 1人死亡

ロイター通信などによりますと、ウクライナでは13日未明、キーウ市内に3夜連続で無人機による攻撃があり、1人が死亡し、少なくとも4人がけがをしました。

ロシア軍の無人機攻撃はNATOの首脳会議と重なり、NATO側にウクライナへのさらなる軍事支援を思いとどまらせるねらいがあるとの見方もでています。

国連事務総長 農産物輸出の合意継続に向けプーチン大統領に書簡

ウクライナ産農産物の輸出をめぐるロシアとウクライナの合意期限が来週17日に迫っている中、国連のグテーレス事務総長は11日、ロシアのプーチン大統領に書簡を送り、合意の延長に向けた提案を伝えました。

提案の具体的な内容については明らかにしていませんが、「ロシア側が懸念を示している障害を取り除き、流通を可能にするものだ」と説明しています。

グテーレス事務総長は声明で、「合意の継続は農産物などを世界に届けるために極めて重要だ。世界の食料価格の引き下げにも貢献している」と述べ、合意を維持する意義を強調しました。

また、国連はロシア側との交渉を担当する国連の高官を今週にもモスクワに派遣したいとしていて、合意継続のための働きかけを活発化させています。

バイデン大統領 “アメリカ主導で民主主義の国々を結束”

アメリカのバイデン大統領は12日、日本などインド太平洋地域の首脳も参加してリトアニアの首都ビリニュスで開かれていたNATO首脳会議への出席を終え、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって演説を行いました。

この中でバイデン大統領は「アメリカはウクライナが現在も将来も自国を防衛できるよう、50以上の国からなる連合を構築した。われわれが揺らぐことはない」と述べ、アメリカが主導し、ヨーロッパとインド太平洋地域の民主主義の国々を結束させたと成果をアピールしました。

そのうえで、「ある国が隣の国の領土を力によって奪うなどということはあってはならない。われわれはきょうもあすも、必要なかぎり自由のために立ち上がる」と述べ、各国と連携してウクライナへの支援を継続すると強調しました。

バイデン大統領としてはロシアとベラルーシの両国と国境を接するリトアニアで演説を行い、価値観を共有する国々の結束を強調することで、ロシアをけん制するねらいがあるとみられます。

NATO首脳会議でG7 ウクライナへの長期的な支援方針を表明

NATO=北大西洋条約機構の首脳会議は12日、閉幕し、最大の焦点となっていたウクライナの加盟について具体的な見通しは示しませんでした。一方で、G7の各国が加盟が実現するまでの間、ウクライナを守るため長期的な支援を行う方針を表明しました。

バルト三国のリトアニアで開かれていたNATOの首脳会議は12日、NATO加盟国とウクライナが対等の立場で話し合う場として新たに設けられたNATOウクライナ理事会の初めての会合が、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加して行われるなど2日間の日程を終え、閉幕しました。

今回の首脳会議で最大の焦点となっていたウクライナの加盟についてNATO加盟国は、一部の手続きを簡略化することで合意したものの、加盟手続きの開始は見送り、今後の具体的な見通しも示しませんでした。

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの加盟はロシアとの直接的な衝突を招きかねないとして、慎重な立場のアメリカやドイツなどの意見が反映されたとみられます。

一方で、ウクライナが加盟が実現するまで必要だとして求めてきた「安全の保証」に対しては、首脳会議にあわせてG7の各国が共同宣言を発表し、将来のロシアによる侵略を抑止することができるような持続可能な軍事力を確保することなど、ウクライナを守るため長期的な支援を行う方針を表明しました。

記者会見でストルテンベルグ事務総長は「今後のロシアの侵攻を抑止することにつながる」とG7の表明を歓迎した上で、「ウクライナはかつてないほどNATOに近い」と述べ、引き続きウクライナを支援していく姿勢を強調しました。

ゼレンスキー大統領 “戦争が終わればNATOに加盟”

ウクライナのゼレンスキー大統領はNATO首脳会議のあとの記者会見で、「ウクライナが今後、NATOに加盟するという確証を得た。戦争が終わればウクライナは間違いなくNATOに招かれ、その一員になる」と述べ、今回の首脳会議では加盟手続きの開始は見送られたものの、将来的なNATOの加盟には大きく近づいたと強調しました。

ロシア報道官 NATOに警戒感

12日まで2日間の日程で行われた首脳会議でNATOはウクライナに複数年にわたる支援を行うことで合意し、結束をアピールしました。

これに対しロシア大統領府のペスコフ報道官は12日、NATOについて、「安定や安全を確保するためにつくられた同盟ではない。不安定と侵略をもたらす攻撃的な同盟だ」と述べ、改めて警戒感を示しました。

ロシア国防委員長 “拘束”報道のロシア軍副司令官は「休暇中」

ウクライナへの軍事侵攻でロシア軍の副司令官を務めるスロビキン氏が先月、民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏が起こした武装反乱のあと拘束されたなどと伝えられていることをめぐり、ロシアのメディアは12日、議会下院のカルタポロフ国防委員長が「彼はいま休暇中だ。連絡はできない」と述べる動画を公開しました。

一方、ロシアの独立系メディアは12日、関係者の話として、スロビキン氏が反乱に関与した疑いでFSB=連邦保安庁に拘束され、2週間余り親族と連絡を取っていないと伝えました。

武装反乱のあと一部の欧米メディアは、プリゴジン氏と近かったとされるスロビキン氏が事前に反乱の計画を把握していたと伝え、消息に関心が集まっています。

スロビキン氏は空軍の総司令官も務めていますが、イギリス国防省は12日、ロシア国防省が10日に公開した軍の会議の映像では、スロビキン氏の副官が参謀総長に報告をしていると指摘し、「反乱のあとスロビキン氏が仕事を外されたという仮説が補強されている」という分析を示しました。

バイデン大統領「陸、海、空で強力な防衛力構築を支援」

アメリカのバイデン大統領は12日、G7の共同宣言をそろって発表する中で、「私とゼレンスキー大統領はウクライナなどで会談したとき、どのような保証ができるのかを話し合った」と述べ、ことし2月に事前の予告なしにウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した際に、ウクライナへの長期的な支援について協議していたことを明らかにしました。

そのうえで、「われわれはウクライナが陸、空、海で強力な防衛力を構築することを支援し、それによってウクライナはこの地域の安定の力となり、あらゆる脅威を抑止するだろう」と強調しました。

ロシア軍 ウクライナ各地で無人機攻撃か

ウクライナ軍の参謀本部は11日、ロシア軍が首都キーウなどウクライナ各地で無人機などを使った攻撃を行ったと発表し、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は11日の分析で、「ロシア軍の無人機攻撃はNATOの首脳会議と重なり、ウクライナへのさらなる軍事支援を思いとどまらせるねらいがあるとみられる」と指摘しました。

ワグネルからロシア軍へ戦車などを引き渡し まもなく完了

一方、ロシア国防省は12日、武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルからロシア軍へ戦車などを引き渡す作業がまもなく完了すると発表しました。

国防省によりますと
▽2000以上の戦車や装甲車などのほか
▽2500トン以上の弾薬やおよそ2万丁の銃が含まれるということです。

国防省はワグネルの戦闘員に国防省と契約を結ぶよう求めていて、事実上の武装解除について発表することで、ワグネルを傘下に置いたことを誇示するねらいもあるとみられます。