大阪府警 2回誤認逮捕した男性に「犯人あなたしかいない」

大阪府警が、知人の女性をSNSのメッセージで脅したなどとして、事件とは無関係の男性を2回にわたり誤認逮捕した問題で、代理人の弁護士は、男性が取り調べを担当した警察官から、「犯人はあなたしかいない」などと言われたことを明らかにしました。男性は、大阪府に対する損害賠償の訴えを検討しているということです。

大阪府警の守口警察署は、SNSで知人の女性に危害を加えるようなメッセージを送ったなどとして、事件とは無関係の20代の男性を、ことし4月と5月の2回にわたり誤って逮捕しました。

男性は42日間勾留され、いずれも処分保留で釈放されていて、メッセージや画像を送ったとされたアカウントは、男性とは別人のもので、何者かがなりすましたとみられることがわかっています。

これについて、男性の代理人の弁護士が12日に取材に応じ、男性が取り調べを担当した警察官から、「犯人はあなたしかいない」とか「暴力団の組長は直接的な証拠はなくても実刑判決になった。君も同じだ」などと言われたことを明らかにしました。

さらに、大阪地検の検察官からも「100%犯人だと思う」などと言われたということです。

男性は逮捕後、一貫して容疑を否認し、警察官らの発言を弁護士から渡されたノートにメモしていたということです。

男性は「自白を強要されて精神的苦痛を受けた」として、大阪府に対し、損害賠償を求める訴えを起こすことを検討しているということです。

代理人の弁護士 “一貫して否認も聞く耳持たず問題“

誤認逮捕された大阪府の20代の男性の代理人を務める森島正彦弁護士は「客観的な証拠を十分に集めずに逮捕に踏み切っていて、自白があればなんとかなるという警察の見込みがあった可能性がある。自白を偏重しているのが、今回の件を生み出した要因ではないか」と話しています。

そのうえで、「男性は、逮捕から3か月たった今もショックを受けている。取り調べで侮辱的な発言をされたと聞いて、強い憤りを感じた。『やっていない』と一貫して否認しているのに、『やっただろう』と聞く耳を持たなかったことは問題で、誤認逮捕は絶対にあってはならない」と話しました。

大阪地検 “不適正とは考えていないが 勾留 申し訳ない”

大阪地方検察庁の北岡克哉次席検事は、今回の誤認逮捕について、「不適正な点があったとは考えていないが、結果的に犯人でない方を勾留してしまったことは申し訳なく思っている」としています。