北朝鮮のミサイル “新型ICBM「火星18型」か 米韓両軍が分析”

韓国軍は北朝鮮が12日発射したのは長距離弾道ミサイルで、通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」でおよそ1000キロ飛行したと発表しました。韓国メディアは、固体燃料式の新型ICBM=大陸間弾道ミサイルの「火星18型」が再び発射された可能性に重きを置いて分析が進められていると伝えています。

韓国軍の合同参謀本部の発表によりますと、12日午前10時ごろ、北朝鮮の首都ピョンヤン付近から日本海に向けて長距離弾道ミサイル1発が発射され、通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」でおよそ1000キロ飛行したということです。

「ロフテッド軌道」で発射された北朝鮮の弾道ミサイルがおよそ1000キロ飛行したのは、ことし4月に従来の液体燃料式よりも迅速に発射できる、固体燃料式の新型ICBM「火星18型」の初めての発射実験が行われたとき以来です。

韓国の通信社、連合ニュースはミサイルの航跡などの特徴から、アメリカ軍と韓国軍が「火星18型」が再び発射された可能性に重きを置いて分析を進めていると伝えています。

今回の発射を受けて韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は、NATO=北大西洋条約機構の首脳会議に出席するため訪れているリトアニアで緊急のNSC=国家安全保障会議を開き、対応を協議しました。

この中でユン大統領は、日米韓3か国によるリアルタイムでのミサイルのデータの共有や、発射を想定した海上訓練などを通じて、安全保障協力をさらに強化するよう指示しました。

専門家 “より早く発射する能力を高めている”

北朝鮮が13日に公開した新型の大陸間弾道ミサイル「火星18型」の発射の映像について専門家は、固体燃料式の特徴がみられるとしたうえで、北朝鮮がミサイルをより早く発射する能力を高めていると指摘しています。

海上自衛隊の元海将で、金沢工業大学虎ノ門大学院の伊藤俊幸教授は北朝鮮が固体燃料式だとしている「火星18型」の発射の映像について、「固体燃料には燃えるときに白く光るアルミウムが含まれている。噴射の煙は白いので固体燃料式の特徴がみられる」と指摘しています。

北朝鮮が今回、従来の液体燃料式ではなく、固体燃料式の発射実験を行ったことについては、「固体燃料式の場合は、撃とうと思えばそこでミサイルを立ててそのまま撃つことができる。液体燃料式の場合は燃料をミサイルに入れたまま長い期間保存することができないので、固体燃料式のように常時いつでも撃てるものではない」と述べ、ミサイルをより早く発射するためだと指摘しています。

また、今回、ミサイルを搭載した車両が舗装していない場所を走行していることについては、「液体燃料式のミサイルでは、舗装されていない場所を通ると燃料が動いて燃焼室までの系統などに不具合が起きる可能性があるが、固体燃料式では舗装されていなくても自由に動くことができるので、即応性が向上するとともに、どこから撃つか分かりにくくなる。そのことを見せつけている」と指摘しています。

そのうえで、「固体燃料式の発射は非常に難しい技術が必要だが、それを完成させてきている。日米にとっては脅威が増していると言える」としています。