震災で被災した児童のランドセル 別の伝承施設へ 宮城 石巻

東日本大震災の発生から11日で12年4か月となりました。より多くの人に震災のことを知ってもらおうと、宮城県石巻市の大川小学校で被災した児童のランドセルが、これまで展示されていた場所から市内の別の伝承施設に初めて移され、展示が始まりました。

東日本大震災で石巻市の大川小学校は、児童と教職員あわせて84人が犠牲になり、当時4年生だった鈴木巴那さんは、津波に巻き込まれ、いまも行方が分からないままです。

地震のあと、巴那さんのランドセルが、泥をかぶったまま校舎の屋根の上で見つかりました。

ランドセルは、去年6月から小学校に併設する形でつくられた震災の伝承施設で展示されてきましたが、初めて展示場所を移し、11日から市の中心部にほど近い伝承交流施設「MEET門脇」で展示が始まりました。

『いろいろなところへ行きたい』という巴那さんの思いや、より多くの人に震災のことを考えるきっかけにしてもらいたいという思いが込められているということです。

施設には、教科書やノートが入った赤いランドセルのほか、両親のメッセージが書かれたパネルも新たに加えられ、展示されています。

11日は母親の実穂さんが施設を訪れ「今もどこかで見つけてもらうのを待ち続けている娘に対し、親としてしてあげられることは、あの日の出来事に向き合うこと、捜し続けることしかありません。このランドセルを通じて、あたり前の生活がいかに幸せで奇跡的なことであるのか、わずかな時間でも自分事として感じていただければと願っています」というメッセージを読み上げました。

展示をきっかけに子どもを捜している親がいることを知ってもらい、大川小学校にも訪れてもらいたいとしています。

施設を運営する「3.11メモリアルネットワーク」の中川政治専務理事は「小さい子どもや震災を全く知らない人たちに思いを伝え、次の世代へとしっかり伝承していきたい」と話していました。