三重の児童相談所 AIの分析結果参考に一時保護を見送り

津市で4歳だった娘を床に転倒させ死亡させたとして42歳の母親が逮捕された事件をめぐり、三重県の児童相談所がAI=人工知能を活用した独自のシステムで分析し、その結果を参考にするなどして、一時保護を見送っていたことが分かりました。県は「AIの評価はあくまで参考で、最後は専門の職員が判断している」としていますが、第三者委員会は今後、システムの活用方法などについても検証する方針です。

ことし5月、津市で4歳だった娘をテーブルの上から床に転倒させ死亡させたとして、42歳の母親が逮捕された事件では、三重県の児童相談所が、娘を「要保護児童」と位置づけたあとも亡くなるまでの1年以上にわたり、本人に直接会って状況を確認することはなく、県は対応に課題があったとしています。

県の児童相談所は、虐待が疑われる子どもを「一時保護」するかどうか判断する際の参考にするため、AIを活用した独自のシステムを運用していて、県によりますと、このシステムで分析したところ、今回の事件と似たケースで一時保護したのは39%だったということです。

県は「AIの評価はあくまで参考で、最後は専門の職員が判断している」としていて、今回、一時保護を見送ったことについては、母親が児童相談所の指導に応じる姿勢を示していたことなどを挙げています。

県の第三者委員会は今後、システムの活用方法などについても検証する方針です。

AI活用の独自システムとは

三重県の児童相談所は、虐待が疑われる子どもを「一時保護」するかどうか判断する際の参考にするため、AI=人工知能を活用した独自のシステムを運用しています。

システムは2020年から運用を始め、虐待が疑われるケースで児童相談所の対応を記録したデータがおよそ1万3000件、蓄積されているということです。

そして、けがの状態などの条件を入力し、類似したケースでは、どの程度の割合で児童相談所が一時保護をしたか、パーセンテージで算出するということです。

県は、AIによる評価はあくまで参考とするもので、最終的には専門の職員の判断で対応を決めるとしています。