ヘルパンギーナ患者数 今月2日までの1週間 過去10年の最多更新

子どもの感染症が多い状態が続いていて、このうち「ヘルパンギーナ」は、今月2日までの1週間に報告された患者の数が、過去10年で最多だった前の週よりもさらに増加していることが、国立感染症研究所のまとめで分かりました。

「ヘルパンギーナ」は夏に患者が増えるウイルス性の感染症で、5歳以下の子どもがかかりやすく、発熱のほか、口の中に水ぶくれができたり、のどが痛んだりといった症状が出ます。

国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告されたヘルパンギーナの患者の数は、今月2日までの1週間で合わせて2万360人で、1医療機関当たり6.48人でした。

これは過去10年で最も多かった前の週をさらに上回っています。

1医療機関当たりの患者数が「6」を上回ると警報レベルとされていますが、最も多い宮城県が15.85人で、三重県や鹿児島県、群馬県でも10人を上回るなど、25の都道府県で警報レベルを上回りました。

一方、例年より早く流行が始まっているRSウイルスについては、1医療機関当たりでは3.17人で、前の週からほぼ横ばいとなりました。

日本小児科医会で感染症対策に携わる峯眞人理事は「ヘルパンギーナは原因のウイルスが複数あり、今後も患者が増える可能性がある。これだけ急激に広がったウイルスはこれからも消えてなくなることはないので、マスクや手洗いなど基本的な対策をとってほしい」と話していました。

かぜの症状を訴える子どもが急増

日本小児科医会で感染症対策を担当している峯眞人理事のクリニックでは、ことし5月以降、新型コロナ以外にも、発熱やせきなど、かぜの症状を訴える子どもが急増しているということです。

症状が長引く子どもについては、ヘルパンギーナ以外にも22種類の呼吸器感染症のウイルスなどの検査を行っていて、ことしはパラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、それにアデノウイルスなどが検出されるケースが多いということです。

これらのウイルスは、通常のかぜのウイルスですが、中には気管支炎や肺炎などで症状が重くなる子どももいるということです。

ウイルスは初めて感染した際に症状が重くなることがあり、これまで新型コロナの対策によってほかのウイルスにも感染する機会が少なかった4歳や5歳などの比較的大きな子どもが、ことし感染している可能性があるということです。

峯理事は「何種類ものウイルスが同時にはやっていて、治りかけても別のウイルスに感染して症状が重くなっているのかもしれない。重症化させないことが大事なので、診断がただのかぜだったとしてもよくない症状が出ていれば早めに受診してほしい」と話していました。

3種類のウイルスに感染した女児も

このクリニックにかかっている1歳10か月の女の子は、5月下旬から発熱やせきの症状が出ていて、検査では新型コロナウイルスやRSウイルスなどは陰性だったということです。

先月には、いったん症状が落ち着きましたが、今月に入って40度の熱が出て気管支炎を発症し、その後も1週間ほど発熱が続いたということです。

クリニックでウイルスを詳しく調べたところ、アデノウイルスと、2種類のパラインフルエンザの合わせて3種類のウイルスが検出されたということです。

女の子は、治療を受けて現在は症状が落ち着いてきているということです。

女の子の母親は「かぜに特効薬がないことは知っていたので最初は耐えるしかないと思っていましたが、あまりにも熱が下がらず、衰弱している様子だったので、心配していました。保育園は夏休みもないのでまた感染する可能性もある。早く流行が収まってほしいです」と話していました。