パラ陸上世界選手権 唐澤剣也「金」男子5000m視覚障害のクラス

フランス・パリで開かれているパラ陸上の世界選手権は男子5000メートル、視覚障害のクラスの決勝が行われ、世界記録保持者の唐澤剣也選手が金メダルを獲得しました。また東京パラリンピックのこの種目の銅メダリスト、和田伸也選手が4位に入り、来年のパリパラリンピックの出場枠を獲得しました。

フランスのパリで開かれているパラ陸上の世界選手権は、4位以内に入ると来年のパリパラリンピックの出場枠を獲得できます。

大会3日目の10日は、男子5000メートル視覚障害のクラスの決勝が行われ、日本勢は、東京パラリンピックこの種目の銀メダリストで世界記録保持者の唐澤選手(29)と、東京パラリンピック銅メダリストの和田選手(46)が出場しました。

唐澤選手は、ガイドランナーを2人に増やして初めての世界選手権に臨みました。

レース前半は抑え気味に走り、終盤でガイドランナーが入れ替わると徐々に差を縮め、残り2周で2位に上がります。残り1周で一気にスパートをかけると最後のカーブでトップの選手をとらえ先頭に立ちました。

唐澤選手はそのままフィニッシュし、大会記録を更新する15分5秒19をマークし金メダルを獲得しました。また、和田選手も粘り強い走りを見せて15分26秒95のタイムで4位に入りました。この結果、日本は来年のパリパラリンピックの出場枠を新たに2つ獲得しました。

このほか、男子5000メートル車いすのクラスの決勝に久保恒造選手が出場し、10分19秒47のタイムで7位に入賞しました。

唐澤「今回の金メダルはまだ通過点」

唐澤剣也選手は「初めての金メダルでとてもうれしいし、たくさんの声援の中で走れて楽しかった」と笑顔で話していました。その上で、レース展開について「3000メートルすぎまでは落ち着いて自分のリズムで走ろうということで、ガイドランナーが変わったところでメダル圏内に持ちこもうと思っていた」と振り返りました。そして、来年のパリパラリンピックに向けて「今回の金メダルはまだ通過点だ。このレースで課題が判明したところもあるので、来年のパリ大会を目指して頑張りたい」と意気込んでいました。

一方、4位に入った和田伸也選手は「先頭集団についていこうと思っていたが、ハイペースで体がついていかなかった。ラストの争いに絡めなかったのが敗因だ」と振り返りました。その上で「金メダルを目指していたので悔しいが、気を取り直して1500メートルで頑張りたい」と前を向いていました。

唐澤剣也 東京パラでは銀 おととしは世界新記録もマーク

唐澤剣也選手は群馬県渋川市出身で、10歳のとき網膜剥離のため失明し、2016年のリオデジャネイロパラリンピックで視覚に障害のある選手が活躍する姿を見て、競技を始めました。

先輩選手のランニングフォームを手で触ったり、足音を聞いてリズムをまねたりするなど視覚以外の感覚を使って技術を習得し、初めて出場した東京パラリンピックの男子5000メートル、視覚障害のクラスで銀メダルを獲得しました。おととし12月には同じ種目で14分55秒39の世界新記録をマークするなど、着実に力を伸ばしていて、世界選手権での金メダル獲得を目指してきました。

唐澤選手は、今大会で男子1500メートル視覚障害のクラスにも出場する予定です。