次世代パワー半導体 日本と海外メーカー 主導権争い激しさ増す

EV=電気自動車に使う部品、パワー半導体をめぐって、日本と海外のメーカーの間で、次世代製品の主導権争いが激しさを増しています。日本の各社が生産拡大に向けた投資を打ち出す一方、海外メーカーは日本国内の拠点を強化しています。

パワー半導体は、EVなどの電気制御に使う半導体で、複数の日本メーカーが世界の中でも一定のシェアを確保しています。

その一方で、耐久性や省エネ性能に優れた「SiC」と呼ばれる次世代のパワー半導体では、日本と海外のメーカーの間で主導権争いが激しさを増しています。

日本メーカーでは、ロームが新たな生産拠点の建設など2027年度までに5100億円を投資するほか、三菱電機も1000億円を投じて2026年度までに生産能力を今の5倍に高める方針です。

さらに、ルネサスエレクトロニクスは、群馬県の工場に新たな生産ラインを立ち上げ、再来年・2025年から新たに参入することを決めました。

一方、海外メーカーでは、ドイツのインフィニオンテクノロジーズが東京都内にある製品の検査などの拠点を増強し、今後、日本の自動車メーカーなどとの取り引きを拡大する方針です。

インフィニオン日本法人の神戸肇シニアバイスプレジデントは「自動車メーカーは大きな変革期を迎えており、SiCの競争は激しくなる。多角的なサポート体制で取り組みたい」と話していました。

AIなどに使われる最先端の半導体では、アメリカや韓国などに大きく遅れをとる中、パワー半導体の分野で日本が今の存在感を保つことに期待がかかっています。