ウクライナ軍 バフムトで前進か 専門家“反転攻勢はこれから”

ウクライナでは東部の拠点バフムトでウクライナ軍が前進しているという見方が出ています。
ロシアによる軍事侵攻から8日で500日となるなか、ウクライナ側は領土奪還に向けた反転攻勢を本格化させたい構えです。

ウクライナ軍は先月上旬から反転攻勢を続けていて、戦況を分析するイギリス国防省は「過去7日間、バフムトが激戦地の1つとなった。ウクライナ軍はバフムトの北と南で着実に前進した」と指摘しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も7日「ウクライナ軍はバフムトで戦術的に重要な進展を果たした」としていて、ロシアが5月に掌握を宣言した東部の拠点バフムトでウクライナ軍が前進しているという見方が出ています。

ロシアの安全保障や核戦略に詳しい軍事専門家のユーリー・フョードロフ氏はNHKのインタビューに対し「ウクライナは12の旅団を投入する予定とされるが、戦闘に参加しているのは3つの旅団で、9つの旅団は温存されている」と述べ、反転攻勢はこれから本格化するという見方を示しました。

そのうえで欧米諸国から戦車だけでなく、戦闘機やATACMSと呼ばれる地対地ミサイルなどの軍事支援を得られることが重要だと指摘しました。

ウクライナ内務省のテレグラムより

一方、ロシア軍の侵攻も続いていて、東部ドネツク州のリマンでは8日、ロシア軍からの攻撃で市民7人が死亡し、ドネツク州のキリレンコ知事は「ロシアのテロリストが市民を攻撃し続けている」と強く非難しました。

こうしたなか、アメリカのバイデン政権は殺傷能力が高いクラスター爆弾をウクライナに供与すると発表しましたが、ロシア外務省のザハロワ報道官は8日、声明を発表し「アメリカは敵対行為への関与をさらに深めている。クラスター爆弾の供与はウクライナ軍の反転攻勢が失敗していることの絶望の表れだ」などと批判しています。

アメリカ政府としては、ウクライナの反転攻勢の本格化に向けて後押ししたい考えですが、使用を禁止する国際条約があるクラスター爆弾の供与について、国際的な人権団体などから批判の声も上がっています。