スポーツ

パラ陸上の世界選手権が開幕 パリ五輪に向け試験運用へ

オリンピックの開幕までおよそ1年となるフランス パリで、パラ陸上の世界選手権が開かれ、オリンピック本番に向けた試験運用を行うなど準備が進められています。

100年ぶり、3回目の開催となるパリオリンピックは、来年の7月26日に開幕し、3週間近くにわたって32競技、329種目が行われる予定です。

開幕をおよそ1年後に控えたパリでは、パラ陸上の世界選手権が8日開幕し、107の国と地域から1330人の選手がパリパラリンピックの出場枠をかけて争います。

初日はやり投げやこん棒投げの予選が行われたほか、各国の選手たちが練習を行い、このうち、金メダルの獲得が期待される佐藤友祈選手などが、トラックの硬さを確かめていました。

大会では来年のオリンピックに向け、使い捨てプラスチックを出さないための取り組みや、オリンピック・パラリンピックで運用が予定されている、視覚障害者向けの音声ガイドの試験運用が始まっています。

このほか、会場にはブースが設けられ、訪れた人たちは車いすで小さな段差を乗り越える大変さを体感したり、ボッチャなどのパラスポーツを体験したりしていました。

夕方から開かれた開会式にはおよそ7000人の観客が訪れ、人気DJがパフォーマンスを行った後、選手たちが入場すると大きな声援が送られ、盛り上がりを見せていました。

“使い捨てプラスチック出さない”専用ボトル配布など

オリンピックの開幕までおよそ1年となるのを前に、パリで開催されている国際大会では、使い捨てプラスチックを出さないための取り組みが始まっています。

ことし5月、パリ市のイダルゴ市長は、パリオリンピックでは観客にペットボトルの持ち込みを認めない意向を表明し「使い捨てプラスチックのない初の主要大会にする」としました。

8日開幕したパラ陸上の世界選手権では、パリ大会を見据えて、選手やスタッフ、それに報道関係者に専用のボトルが配布されました。

会場には14のポイントが設けられ、ここでボトルに水道水を給水してもらいます。

また、会場ではペットボトル飲料の販売を見合わせ、飲み物は専用のカップに入れて販売されています。

飲み終わったカップは売店で回収し、洗浄して再使用されるほか、カップの大きさによって1ユーロから2ユーロを支払えば、大会期間中は繰り返し使うことができ、後日売店にカップを返せば、返金されるということです。

このほか、会場では牛のゲップに温室効果ガスの「メタン」が含まれ、地球温暖化につながると指摘されていることから、肉を使った食事は販売されていません。

観客は野菜を具材にしたサンドイッチやホットドッグを買い求めていました。

大会組織委員会でSDGsを担当するカンタン・ヴィレムスさんは、「すぐに完全な形で環境に配慮した大会にするのは難しいですが、プラスチックの削減やリサイクルに多くの人が関心を持ってもらうきっかけにしたいと思っています。世界最大のイベントとも言えるオリンピックの開催に向け、さらに機運を高めていきたい」と話していました。

視覚障害者向け音声ガイドの試験運用

来年のオリンピック・パラリンピックで運用が予定されている、視覚障害者向けの音声ガイドの試験運用が行われています。

来年のオリンピック・パラリンピックでは、視覚に障害がある人に競技を楽しんでもらおうと、実況や解説をする音声ガイドの運用が予定されています。

開幕までおよそ1年となるのを前に、パリで開かれているパラ陸上の世界選手権には14人のボランティアの学生たちが試験運用に臨みました。

大会初日は男子こん棒投げの予選が行われ、学生たちはこん棒投げはパラリンピックの陸上の種目の1つで、握力が弱く、砲丸投げややり投げなどが難しい選手が木製のこん棒を投げて距離を競うといった説明のほか、選手の表情や息遣いなどを描写して、臨場感を伝えていました。

この音声ガイドは、QRコードをスマートフォンなどで読み取ると誰でも無料で利用できるということで、学生たちは、観客にチラシを配って利用を呼びかけていました。

観戦で会場を訪れ、音声ガイドを利用した視覚障害のある男性は「私たちは助けがないと何も想像できません。いつもは近くの人にどんな状況か聞いていましたがこれはありがたいシステムです。視覚障害のある人だけでなくいろいろな障害のある人の役に立つでしょう」と話していました。

音声ガイドのマイリス・ダヴィッドさんは、ジャーナリズムを学ぶ22歳の学生で、好きなスポーツに関わりたいとおよそ1年前から専門家の指導を受けてきました。

それまでパラスポーツは見たことがなかったといいますが、音声ガイドとして学ぶうちに障害のある人がどんな情報を必要としているかを考えるようになったり、競技を楽しんでもらうために感情豊かに表現する工夫を重ねるようになったりして、より多くの人にパラスポーツを知ってほしいと思うようになったといいます。

マイリスさんは、来年のパリオリンピック・パラリンピックに向けて「音声ガイドをするようになってパラリンピックの見方が変わりました。パリ大会をきっかけにオリンピックと同じくらい盛り上がって関心を持ってもらえることを期待しています」と話していました。

「多くの人たちにパラスポーツを知ってもらう」

パラ陸上世界選手権組織委員会の現場責任者、アドリアン・バルドゥジーさんは、来年のパリオリンピック・パラリンピックを前に開催された今大会について「世界選手権をきっかけに、より多くの人たちにパラスポーツとパラリンピックの存在を知ってもらい、好きになってもらうことが一番の目的だ」と話しました。

そして、使い捨てプラスチックを出さないための取り組みについて「エコについて意識してもらうことが大事で、環境に配慮した行動が自然と習慣化できるような仕掛けになっている」としたうえで、大会で得た知見を来年のオリンピック・パラリンピックに生かしたいとしています。

最新の主要ニュース7本

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

特集

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

スペシャルコンテンツ

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

ソーシャルランキング

一覧

この2時間のツイートが多い記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

アクセスランキング

一覧

この24時間に多く読まれている記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。