旧統一教会「関係絶つ」自民方針 各地で対応ばらつき NHK調査

「旧統一教会との関係を絶つ」という自民党の方針が徹底されているのか、NHKは47の都道府県連にアンケートをしました。

春に行われた統一地方選挙では、およそ4分の3が教団との接点について、すべての候補者に確認していましたが、方針を徹底させるための対応については誓約書の提出や文書による周知など、ばらつきが見られました。

安倍元総理大臣への銃撃事件をきっかけに旧統一教会と政治家のつながりが次々と明らかになったことを受けて、自民党は関連団体も含めて教団と関係を絶つ方針を決め、地方議員にも徹底させるとしてきました。

こうした方針への対応について聞くため、NHKは6月、自民党の47都道府県連にアンケートを行い、すべてから回答を得ました。

ことし4月に行われた統一地方選挙で候補者の公認や推薦をする際、旧統一教会との接点について調査や確認を行ったかどうか聞くと
▽「すべての候補者について調査・確認した」が全体のおよそ4分の3にあたる35
▽「全く行わなかった」が5
▽「一部の候補者について調査・確認した」が2
▽「公認・推薦する候補者はいなかった」が3
▽無回答が2でした。

「全く行わなかった」というところからは「去年のうちに関係遮断を守るように伝え、議員や党員に周知されているため」とか「所属議員の何人かの関係が新聞報道で判明したが、今後は慎重に行動するとのことだった」という回答がありました。

方針の徹底のために候補者に行ったことを複数回答で聞いたところ
▽「文書による方針の周知」が27
▽「誓約書等への署名・提出」が25
▽「会議などにおいて口頭での方針の周知」が18
▽「その他」が2で、対応にばらつきがありました。

一方、地方議会で自民党の議員が教団と関わりのある議員と同じ会派を組んでいる例があるか聞いたところ
▽「関知していない」が28
▽「ない」が16
▽「ある」が1
▽「県議会ではないが市町村議会は関知していない」が1
▽無回答が1でした。

「関知していない」とするところからは「党活動と議会活動は別である」という意見が多かった一方「ない」とするところからは「教団との接点を確認して疑わしい議員とは会派を組まない」という意見もありました。

党の方針の徹底や会派について、自民党の幹事長室は「各都道府県連はすでに党の方針を所属地方議員や地域支部等に対し周知・徹底している。党活動と議会の活動は別であり、会派構成について党としてコメントする立場にはない」などと書面で回答しました。

専門家「党としてきちんと対応したのか やや疑問が残る」

日本の政党政治を研究する中央大学の中北浩爾教授は、方針の徹底にばらつきがあることについて「自民党は非常に分権的で、『県連自治』という形で運営されているのが強さの源泉の一つでもあるが、支部によって相当なばらつきが出ると党としてきちんと対応してきたのか、やや疑問が残る」などと指摘しました。

また、自民党の議員が旧統一教会と関わりがある議員と同じ会派を組んでいる例があることについては「議会会派の活動には一定の自立性があると思うが、政党にとっては重要な活動の一つであり、有権者からは当然、自民党の活動の一部分という見方をされる。“関係を絶つ”としたことの内実を問われかねないのではないか」と話しました。

信者の市議 自民党系会派入り認めるケースも

ことし4月の統一地方選挙で自民党公認で当選した市議会議員がその後、旧統一教会の信者の市議会議員と同じ会派で活動しているケースがありました。

徳島市議会では自民党公認で当選した議員と無所属の2人の合わせて3人の会派があり、副会長を務める無所属の美馬秀夫議員は、旧統一教会の信者であることを公表しています。

美馬氏は過去2回、自民党の公認を得て当選していましたが、4月の統一地方選挙では旧統一教会と関係を絶つとした自民党の基本方針を受けて、公認を受けることを辞退し、無所属で再選しました。

会派の会長を務める自民党の須見矩明議員が美馬氏の会派入りを認めたということです。

須見氏は「美馬氏が昔から旧統一教会の信仰を持っていたことは知っていたが、会派の活動に持ち込んだことはなく、これまでも一緒に活動してきた仲間だと思っている。旧統一教会の信者だからといってみんなが悪いわけではなく、県連から一緒に会派を組んではならないという具体的な指示もないため、同じ会派での活動は問題はない」などと話していました。