米 バイデン大統領 “保有する化学兵器 すべて廃棄完了” 発表

アメリカのバイデン大統領は、化学兵器禁止条約に基づいて廃棄を進めてきたアメリカが保有する化学兵器について、すべての廃棄が完了したと発表しました。

バイデン大統領は7日、声明を出し「アメリカは、30年以上にわたって化学兵器の廃棄に取り組んだ結果、最後に残った化学兵器の廃棄を無事終えた」と発表しました。

そして「これにより、化学兵器の恐怖におびえる必要のない世界に一歩近づいた」と強調しました。

AP通信によりますと、アメリカは3万トンを超える化学兵器用の物質を国内の軍事施設で備蓄していましたが、1997年に発効した化学兵器禁止条約などに基づき、廃棄作業を続けてきました。

条約は、効力が生じてから10年以内にすべての化学兵器を廃棄するよう義務づけていますが、アメリカは期限内に完了できず延期を繰り返してきました。

化学兵器をめぐってロシアは2017年にすべての廃棄が完了したと発表していますが、ロシアが支援するシリアのアサド政権がその後、猛毒のサリンなどの化学兵器を使用したとされることなどから、アメリカ政府はロシアが今も化学兵器を保有していると見ています。

このためバイデン大統領は同じ声明の中で「ロシアとシリアは化学兵器禁止条約を順守し、申告していない化学兵器の存在を認めるべきだ」と訴えました。