“航行する船舶から排出の温室効果ガス 2050年実質ゼロへ”IMO

国連の専門機関、IMO=国際海事機関は、世界中を航行する船舶から排出される温室効果ガスを2050年頃までに実質ゼロにする目標を採択しました。

IMOによりますと、世界の貿易量のおよそ90%が船舶で運ばれ、こうした国際海運による温室効果ガスの排出量は世界全体の3%近くを占めています。

IMOはイギリス・ロンドンの本部で7日までに開いた委員会で、この排出量を2008年に比べて2030年までに20から30%、2040年までに70から80%削減し、2050年頃までに実質ゼロにする目標を175の加盟国の全会一致で採択しました。

これまでは排出量を2050年までに50%以上削減する目標を掲げていましたが、これを大幅に引き上げ、地球温暖化対策を加速させたい考えです。

会見したイム・キタック事務総長は「目標は非常に野心的なもので、達成のためには産業界の投資が重要になる」と述べ、燃やしても二酸化炭素を排出しない水素やアンモニアを燃料とする「ゼロエミッション船」の導入など、造船や海運会社が技術革新を進める必要性を強調しました。

一方で、一部の国が提案していた船舶への炭素税の導入は見送られ、環境保護団体などからは対策が不十分だという指摘も上がっています。