ウクライナ国防省次官 “兵器も兵員もロシアに劣る 支援を”

ロシアによる軍事侵攻から8日で500日となるのを前に、ウクライナ国防省のマリャル次官がNHKの単独インタビューに応じました。南部で優位に反転攻勢を進めているとの認識を示す一方「兵器も兵員も依然ロシアに劣っており、領土奪還を迅速に進められない」と述べ欧米からのさらなる軍事支援を強く訴えました。

ウクライナの首都キーウで今月5日にインタビューに応じたマリャル次官は、最新の戦況について「東部では主導権をどちらが握るかをめぐる争いが行われている」と述べた上で「バフムト方面は最も戦闘が激しくなっている。大部分をロシア側がおさえていることは確かだが、ウクライナ軍が取り囲み、ロシア軍が退避できなくなっている」と述べました。

また「ロシアにとっての主戦場は東部だが、その間にわれわれは南部でおおむね反転攻勢を進めている。この数週間で150平方キロの領土を奪還した」と戦果を強調しました。

一方、マリャル次官は、ロシアの民間軍事会社ワグネルについて「前線から撤収した」としたものの「戦況に基本的には影響はない。ロシア側は正規軍を投入し、自分たちの部隊を強化しようとしている。バフムト方面ではここ数日で空てい部隊が投入された」と述べました。

また先月、南部のカホウカ水力発電所のダムが決壊し、大規模な洪水に見舞われたロシア側が支配する地域の状況について「ロシアはロシアのパスポートを持つ人にだけ支援を届けている」などと述べ、支援と引き換えにウクライナ国民のロシア化を迫っているなどと批判しました。

そして「重要なのは兵器が足りていないということだ。東部でも南部でも兵器や兵員の数で依然ロシアに劣っており、このために領土奪還を迅速に進められないでいる。たとえば東部で一日に使用する弾薬はわれわれは5000発から6000発しかないが、ロシアは4万5000発も使っている。われわれにとっては防空システムや射程の長いミサイル、それに戦闘機も必要だ」と述べ、欧米からのさらなる軍事支援を強く訴えました。

マリャル次官は「ウクライナ人の誰もが友人や親族、愛する人を亡くした。SNS上で大切な誰かの死を嘆く市民を見ない日はない」と述べた一方で「生きるか死ぬかの問題であり、われわれに疲れはない。私たちの領土のため最後まで戦うつもりだ」と強調し、自国の勝利でしか戦争を終わらすことはできないとするウクライナの立場に理解を求めました。