コロナ専門家会合 “夏の間に一定の感染拡大生じる可能性”

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が7日に行われ、現在の感染状況について、全国的に緩やかな増加傾向が続いていて、特に沖縄県で感染の拡大がみられるとしました。今後、夏の間に一定の感染拡大が生じる可能性があるとして、手洗いや換気、マスクの効果的な場面での着用などの基本的な対策が重要だとしています。

専門家会合は、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行したあととしては、6月16日以来2回目の開催となります。

専門家会合の分析によりますと、新規患者数は全国的には4月上旬以降、緩やかな増加傾向で、5類移行後も7週連続で増加が続いているということです。

地域別では46の都道府県で前の週より増えていて、特に沖縄県で感染拡大がみられるとしています。

新規入院者数や重症者数も増加傾向で、医療提供体制は全国的にひっ迫はみられていないものの、沖縄県では入院者数の増加や病院内でのクラスターの発生で医療への負荷が増大していると指摘しました。

また、検出される新型コロナウイルスの種類はオミクロン株のうちの「XBB系統」が大部分を占めていて、特にインドなどで拡大し免疫を逃れやすい可能性が指摘されている「XBB.1.16」の割合が増加傾向だということです。

今後の感染の見通しについては、過去の状況などを踏まえると夏の間に一定の感染拡大が起きる可能性があり、医療提供体制への負荷が増大する場合も考えられるとした上で、時間の経過などで感染やワクチンによる免疫が低下していることや、変異ウイルスの増加、それに夏休みなどで接触の機会が増えることなどが感染状況に与える影響に注意が必要だとしています。

こうしたことを踏まえ、専門家会合は、引き続き感染の動向をさまざまな指標で把握し、感染拡大がみられる沖縄県と密接に連携をとること、高齢者や基礎疾患のある人へのワクチン接種、感染が拡大しても必要な医療が提供できるよう、幅広い医療機関で新型コロナに対応する体制への移行を進めることが求められるとしました。

そして、手洗いや換気、マスクの効果的な場面での着用など、基本的な感染対策を呼びかけました。

脇田座長「九州や西日本でも増加続いている 注視する必要」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は、現在の感染状況について「全国でみると沖縄県が突出して感染が広がっている状況だが、九州や西日本でも増加が続いているので、注視する必要がある。沖縄県ではかなりの規模での感染拡大が続き、医療体制もひっ迫していると、沖縄県の医師から報告があった」と指摘しました。

その上で「夏を迎え暑くなり、人々が密閉空間に集まる機会が増えたことで、増加傾向になっていると考えられる。沖縄県で突出しているのは、沖縄では去年の夏の『第7波』で大きな感染の波があった一方で、この冬の『第8波』は全国に比べると大きくはなく、感染から時間がたっている人が多いことや、ワクチンの接種率が全国と比べて低いこと、観光地であることなどが影響している可能性があり、今後、全国で同様の規模の感染拡大が起こるかどうかは予測が難しいといった意見があった」と話しています。

一方で、現在の感染状況が「第9波」にあたるかどうかについては「今の状況が『第何波』となるかを認定するための議論はしておらず、いずれ、感染拡大が落ち着いた時に波がどうだったのか評価をすることになる」と述べました。