韓国政府 原発処理水の報告書を公表 “周辺海域に影響なし”

韓国政府は、東京電力福島第一原発にたまる処理水を海に放出する計画をめぐって、独自に調査や分析を行った結果、計画どおり放出されれば、基準に適合することを確認したなどとする報告書を公表しました。政府高官は、記者会見で、韓国周辺の海域に及ぼす影響はほとんどないと説明しました。

公表された報告書によりますと、処理水の放出が計画どおり行われれば、放射性物質の濃度などは、基準に適合することが確認でき、とりわけトリチウムについては、基準よりさらに低い目標値を設定しているとしています。

そのうえで、予期しない異常事態が起きても、汚染された水が放出されないよう多様な装置を確保していることも確認できたとしています。

韓国政府のパン・ムンギュ(方文圭)国務調整室長は「おととしから独自に科学的、技術的安全性の検証を進めてきた結果、私たちの海域に及ぼす影響はほとんどないことが確認された。太平洋の海水で希釈されたうえで、韓国の海域に到達するのは4、5年後以降で、トリチウムなどの影響も科学的にほとんどない」と述べました。

また、放出への懸念が韓国国内で根強くある中で、パン氏は「国民の懸念を考慮し、海域の安全管理を強化する」と述べ、周辺海域のモニタリングや、水産物の放射性物質検査などを徹底すると説明しました。

林外相 “科学的根拠に基づき一層理解へ取り組む”

林外務大臣は、閣議のあとの記者会見で「韓国に対しては、これまで処理水の安全性について、丁寧に情報提供や説明を行ってきた。IAEA=国際原子力機関の報告書の結論を踏まえて、引き続き、科学的根拠に基づき高い透明性をもって、韓国を含む国内外の関係者に丁寧に説明を行い、韓国側の理解が一層深まるように取り組んでいく」と述べました。

松野官房長官「海洋放出の安全性も国際社会に丁寧に説明」

松野官房長官は、午後の記者会見で「韓国に対しては『ALPS』処理水の安全性について科学的根拠に基づき丁寧に情報提供や説明を行ってきており、今回の報告書はこうした日本側の取り組みを踏まえたうえで作成されたものと認識している。海洋放出の安全性も引き続き韓国をはじめ国際社会に対し丁寧に説明していく」と述べました。