山梨 笛吹 桃300個以上が盗難被害 都内ナンバーの車残し逃走か

収穫直前の果物が盗まれる被害が後を絶たない中、今月1日、山梨県笛吹市の畑で桃が300個以上もぎ取られる被害があり、近くに都内のナンバープレートをつけた車が残されていたことが捜査関係者への取材で分かりました。もぎ取られた桃はかごの中に放置されていて、警察は発覚をおそれて車や桃を置いて逃げたとみて調べています。

今月1日の朝、笛吹市の畑から収穫直前の桃が大量になくなっていることに農家の男性が気付き警察に通報しました。

警察によりますと被害にあったのは「あかつき」と「白鳳」という品種の桃、合わせておよそ350個で金額にしておよそ10万円分に上り、複数の買い物かごに入った状態で現場に放置されていたということです。

この窃盗事件で、前日の夜に警戒していた地域の農家たちが付近の路上で都内のナンバープレートをつけた不審な車を発見し、そのあと、押収されていたことが捜査関係者への取材で分かりました。

何者かがこの車で畑に乗りつけたとみられ、警察は事件の発覚をおそれて車や桃を置いたまま逃げたとみて詳しいいきさつを調べています。

被害にあった農家「あと3、4日で出荷できる状態だった。悔しい」

被害にあった農家の男性は「桃はあと3、4日で出荷できる状態だったのに、こうした被害を受けるのは残念です。対策するにも限界があるので悔しい気持ちです」と話していました。

一方、現場付近で見つかり、警察に押収された車についてこの男性は、「畑の被害を確認した日の朝も、車は畑の脇の道にずっと置いてあった。鍵もかかっていなくて、窓も開けたままになっていた。その後、警察がレッカー車で持って行った」と話していました。

山梨の果物が盗まれる被害 去年6月から急増

山梨県では、収穫直前の桃やぶどうなどの果物が盗まれる被害が去年6月から急増しました。

警察のまとめによりますと、去年の被害は合わせておよそ40件、金額にして850万円に上りました。

県内のJAなどは被害が急増した去年を踏まえ、警戒をいっそう厳重にしてことしの収穫シーズンを迎えましたが、先月、山梨市で桃およそ30個が盗まれた被害に続いて今回、笛吹市でも被害が確認されました。

JAや自治体は、防犯カメラや不審者の侵入を感知するセンサーの設置費用の一部を負担する対策を進めていますが、資金面などから導入をためらう生産者も少なくないのが現状です。

笛吹市でもさまざまな対策進む

去年、果物の盗難被害が急増したことを受けて、山梨県笛吹市でもさまざまな対策が進められていました。

JAなどによりますと、夜間はJAが契約した民間の警備会社が桃畑周辺のパトロールを強化しているほか農家だけでなく、地元の消防団などによるパトロールも頻繁に行われているということです。

また、管轄の警察署では犯人の検挙につなげるべく、不審な車の目撃や、大量の果物の売買を持ちかけられたといった情報の提供をホームページで受け付けています。