【厳重警戒を!】8~9日 九州北部 中国 北陸中心に大雨 気象庁

前線の影響で記録的な大雨となった九州のほか西日本から北日本の広い範囲で10日・月曜日ごろにかけて大雨となるおそれがあり、最新の気象情報を確認して早めの備えを進めてください。

また今回予想される大雨について、国土交通省と気象庁が共同で報道機関の取材に応じ、気象庁の担当者は8日から9日にかけては九州北部や山口県、中国地方、北陸を中心に雨の量がかなり多くなり、災害の危険度が急激に高まるおそれがあるとして厳重に警戒するよう呼びかけました。

西日本から日本の南にのびる前線の活動が活発になっているためこの時間は近畿などで雨雲が発達しています。

前線は来週10日・月曜日ごろにかけて本州付近に停滞するため、西日本から北日本にかけての広い範囲で雷を伴った激しい雨や非常に激しい雨が降り大雨になる見込みです。

特に九州や山口県ではこれまでの大雨で地盤が緩んでいたり、川の堤防や護岸が損傷したりしているところがあるほか、北陸などふだん雨の少ない地域では少しの雨でも土砂災害や川の氾濫などの災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。

8日夕方までの24時間に降る雨の量はいずれも多いところで
▽九州北部で250ミリ
▽山口県で200ミリ
▽中国地方で150ミリ
▽関東甲信と北陸、東海、新潟県で120ミリと予想されています。

また、8日夕方までの24時間には
▽九州北部と山口県で200ミリから300ミリ
▽関東甲信と東海、中国地方で100ミリから200ミリ
▽東北と北陸、近畿、新潟県で100ミリから150ミリ
さらに来週月曜日の夕方までの24時間に
▽九州北部で100ミリから200ミリの雨が降る見込みです。

気象庁は土砂災害や低い土地の浸水、川の増水や氾濫に警戒するとともに、落雷や突風にも十分注意するよう呼びかけています。

ハザードマップで地域の災害リスクや避難先を確認するなどの備えを進めるとともに、雨の降り方や自治体が発表する避難の情報などに注意し、レジャーなどで外出を予定している人は予定を見直すなど対応を検討してください。

気象庁の担当者「少しの雨でも土砂災害危険度 非常に高まる」

10日ごろにかけて停滞する梅雨前線に伴う大雨について国土交通省と気象庁が共同で報道機関の取材に応じ、気象庁の担当者は、8日から9日にかけては九州北部や山口県中国地方、北陸を中心に雨の量がかなり多くなり、災害の危険度が急激に高まるおそれがあるとして厳重に警戒するよう呼びかけました。

“特にあす8日とあさって9日に雨量多い”

この中で、気象庁予報課の立原秀一主任予報官は「停滞する梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため西日本と東日本の広い範囲で大雨となる」と説明しました。

そのうえで「特に8日から9日にかけては前線の活動が活発になり、九州北部や山口県、中国地方、北陸を中心に雨の量がかなり多くなる。気象庁としても危機感を強めている」と述べました。また「先月28日からの大雨で九州を中心に地盤が緩んでいるところがあるので少しの雨でも土砂災害の危険度が非常に高まる」として土砂災害に厳重に警戒するとともに低い土地の浸水や川の増水、氾濫に警戒するよう呼びかけました。

さらに、ことし5月に石川県能登地方を震源とする地震で揺れの大きかった地域でも地盤が緩んでいる可能性があるとして少しの雨でも土砂災害の危険性が高まるおそれがるとしています。

今回発達した積乱雲が次々と連なる「線状降水帯」が発生するかどうかについては、現時点ではわからないとしたうえで、予測された場合は半日前に情報を出すので最新の情報を確認してほしいとしています。

川の増水や氾濫にも警戒を

前線に伴う大雨で川が氾濫するおそれがあるとして国土交通省は警戒を呼びかけました。

この中で、国土交通省の尾松智 河川保全企画室長は先週末から雨が断続的に降り続いているため氾濫の危険性がより高まるとしたうえで、これまでの雨で堤防が決壊したり護岸が傷したりした場所では注意が必要だとしています。

一方、川から水があふれることがなくても水位が高いと川に排出しにくくなり内水氾濫が起きて浸水被害が出るおそれがあるほか、大きな河川は雨が弱まっても水位が上昇するとして注意を呼びかけました。

ダムの事前放流に伴う増水にも注意

また、大雨に備えて長野県内の3つのダムがあらかじめ水位を下げるため事前放流していることを明らかにしたうえで、ほかのダムも今後事前放流を行う可能性があるとして川の増水に注意するよう呼びかけています。

そのうえで、国土交通省は、インターネットで公開している「川の防災情報」を参考にするとともに、雨が降る前にハザードーマップを見て自分の住んでいる地域にどのような災害のリスクがあるか確認するよう呼びかけました。

警報級の大雨になる可能性の時間帯(7日11:00時点)

【地盤が緩んでいる九州や山口県】
▽九州北部と山口県はこれから来週11日にかけて警報級の大雨となる可能性があり特に7日夜から10日にかけて可能性が高くなっています。
▽九州南部はこれから9日にかけて警報級の大雨の可能性があります。

【北陸・近畿・中国地方など日本海側】
▽近畿はこれから8日朝にかけてと9日から10日にかけて
▽中国地方は7日夜から10日にかけて警報級の大雨の可能性があります。
▽北陸は8日朝から10日にかけてで、特に9日にかけては警報級の大雨の可能性が高くなっています。

【東海・関東甲信】
▽東海は8日朝から10日にかけてで特に9日は警報級の大雨の可能性が高くなっています。
▽関東甲信は8日朝から10日にかけて警報級の大雨の可能性があります。

特に土日は各地で雨量がかなり多くなると予想されています。最新の情報や雨の降り方に注意するとともに、レジャーなど外出を予定している人は状況に応じて予定を見直すなど対応を検討してください。

氾濫危険水位超える雨量の目安

河川の氾濫のメカニズムに詳しい東京理科大学の二瓶泰雄教授は、一級河川の流域全体でどのくらいの雨が降ると、川の水位が氾濫の危険性が非常に高い「氾濫危険水位」を超えるのか過去の雨と水位のデータを元に調べました。

気象庁が発表する予想の雨量と比較できるように、目安を流域で降る24時間の雨量で示しています。特にこの土日に雨量が増えると予想されている九州北部と中国地方、それに北陸の河川の目安は次の通りです。

【九州北部】

福岡県などを流れる
▽筑後川は150ミリから200ミリ、
▽遠賀川は200ミリから250ミリ、
▽矢部川は250ミリから300ミリとなっています。

佐賀県を流れる
▽六角川は100ミリから150ミリ、
▽嘉瀬川は150ミリから200ミリ、
▽松浦川は200ミリから250ミリです。

長崎県を流れる
▽本明川は200ミリから250ミリです。

大分県などを流れる
▽山国川は150ミリから200ミリ、
▽大分川と大野川はそれぞれ250ミリから300ミリ、
▽番匠川は350ミリから400ミリとなっています。

熊本県などを流れる
▽白川は150ミリから200ミリ、
▽菊池川、緑川、球磨川はそれぞれ200ミリから250ミリです。

【中国地方】

山口県を流れる
▽佐波川は150ミリから200ミリです。

広島県などを流れる
▽太田川は100ミリから150ミリ、
▽芦田川は150ミリから200ミリ、
▽小瀬川は450ミリから500ミリとなっています。

岡山県を流れる
▽高梁川は100ミリから150ミリ、
▽吉井川、旭川は150ミリから200ミリです。

鳥取県などを流れる
▽日野川は150ミリから200ミリ、
▽千代川、天神川は200ミリから250ミリです。

島根県などを流れる
▽江の川は100ミリから150ミリ、
▽高津川、斐伊川は150ミリから200ミリとなっています。

【北陸】

新潟県などを流れる
▽信濃川、阿賀野川はそれぞれ100ミリから150ミリ、
▽関川と荒川はそれぞれ150ミリから200ミリ、
▽姫川は200ミリから250ミリです。

富山県などを流れる
▽小矢部川で100ミリから150ミリ、
▽神通川は150ミリから200ミリ、
▽常願寺川は200ミリから250ミリ、
▽庄川は250ミリから300ミリ、
▽黒部川は350ミリから400ミリです。

石川県を流れる
▽梯川は150ミリから200ミリ、
▽手取川は250ミリから300ミリとなっています。

福井県などを流れる
▽九頭竜川は150ミリから200ミリ、
▽北川は250ミリから300ミリです。

二瓶教授は「川によって『氾濫危険水位』の目安の雨量が違うことがわかる。同じ雨量でも地域によって危険度は異なるので自分の住んでいる近くの川の目安を知って気象情報を見る参考にしてほしい」と話しています。

福岡市で昼前にかけて雷が相次いで発生

福岡市早良区にある西南学院大学によりますと、7日午前11時半ごろキャンパス付近で雷が落ちました。

この影響で一部の施設や教室でパソコンやプロジェクターの電源が落ちたり、火災報知器が誤作動したりして、授業を一時中断するなどの影響が出ました。その後、授業は通常どおり再開されたということです。

当時、大学にいた男子学生は「とても大きな音がして、プロジェクターが一瞬消えて授業が中断しました。びっくりしました」と話していました。

また、別の女子学生は「体育館にいましたが、雷が落ちた後に火災報知器が10分から15分ぐらい鳴り続けていました。恐かったです」と話しました。

また、この週末にかけて大雨が降る見通しについて、街の人からはさまざまな声が聞かれました。

このうち、男子大学生は「電車が止まったりする影響が出なければといいと思います。大雨で川が氾濫すると怖いので避難場所などは確認しておきたいと思います。早く梅雨が明けてほしい」と話していました。

また60代の男性は「毎年、梅雨明けが近くなると雨がかなり降るので、しかたないと思っています」と話していました。

川の洪水の危険度「キキクル」で6時間先まで閲覧可能

川の洪水の危険度を表示している気象庁のホームページで、過去に災害が起きた川の6時間先の危険度の予測が見られるようになり、気象庁は早めの避難に役立ててほしいと呼びかけています。

気象庁は川の洪水の危険度の高まりを地図上に5段階に色分けして示す「キキクル」という情報をホームページで公開しています。

危険度の判定には川の上流で降った雨の量を数値化した「流域雨量指数」を3時間先まで予測したデータが使われていますが、新たに過去に災害が起きた全国8000の川について「流域雨量指数」の6時間先の予測が見られるリンクが加わりました。

具体的には「キキクル」のページから画面右上の「主な河川の時系列表示」という文字をクリックすると画面が切り替わり、都道府県ごとに一覧で見ることができます。

また、過去30年間に起きた最大の数値も掲載されていて比較することもできます。

水位計でふだん水位を測っていないような小さな川の危険度も把握できるということで気象庁気象リスク対策課の坪井嘉宏広域避難支援気象防災推進官は「特に夕方から夜にかけて危険度が高まるような時に6時間先の洪水の危険度を確認し早め早めの対応につなげてほしい」と話しています。