【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(7日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる7日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 各国首脳と相次ぎ会談へ

ゼレンスキー大統領は、来週11日からNATO=北大西洋条約機構の首脳会議が始まるのを前に加盟国のブルガリアやチェコの首脳と相次いで会談し、トルコでも7日にエルドアン大統領と会談する予定です。

ウクライナとしては領土奪還に向けた反転攻勢をめぐり、NATOにさらなる協力を求めるとともにトルコに対しては、ウクライナ産の農産物の輸出を巡る交渉が難航していることからこの問題でも仲介役のエルドアン大統領と協議するものとみられます。

ウクライナ東部 ロシア無人機攻撃で2人死亡

ウクライナ軍の参謀本部は7日、ロシア軍が18機のイラン製の無人機で攻撃を仕掛け、このうち12機を撃墜したと発表しましたが、ウクライナ内務省によりますと、東部ドニプロペトロウシク州では落下した破片によって、2人が死亡したということです。

ウクライナでは6日も西部リビウの市内でミサイル攻撃があり、死者が10人、けが人が45人にまで増え、ロシア軍の激しい攻撃が続いています。

ザポリージャ原発 危険性低下か

ウクライナ南部のザポリージャ原発で爆発物が設置されたなどと指摘される問題で、ロシアとウクライナは非難の応酬を繰り広げ、原発が破壊されるなど不測の事態への警戒が続いています。

こうしたなか、親ロシア側の幹部は6日、プーチン大統領の側近である大統領府のキリエンコ第1副長官らがザポリージャ原発を訪れたとSNSで明らかにし「通常通り稼働していることを確認した」と投稿しました。

これに先立ち、ウクライナ国防省情報総局のブダノフ局長も「人為的な大災害が起きる危険性は下がってきている」と発言していて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は6日、「ウクライナとロシアの当局者はザポリージャ原発に関する論調を大きく和らげた」として現段階では危険性が下がっていると指摘しました。

G7司法相会合 ウクライナでの汚職問題 作業部会設置へ

G7=主要7か国の司法大臣会合が東京で開かれ、ロシアのウクライナ侵攻を強く非難するとともに、ウクライナで深刻な問題となっている汚職が復興の妨げになりかねないとして対策を支援する作業部会の設置を決めました。

日本でG7の司法大臣らが単独で会合を開くのは初めてで、ロシアのウクライナ侵攻を最も強いことばで非難し、ロシアによる戦争犯罪などの責任を追及するため、ウクライナと緊密に連携し捜査や訴追などを支援することで一致しました。

一方、ウクライナでは複数の政府要人が解任されるなど汚職が深刻な問題となっており、復興の妨げになりかねないといった指摘も出ています。

このため日本が主導して、どのような汚職対策が効果的か分析して提案する作業部会を設置することを決めました。

また、国際社会に「法の支配」を浸透させるため、相手国の実情を踏まえた司法制度になるよう支援する取り組みでも協力していくことを確認しました。

そして、こうした議論の成果を盛り込んだ「東京宣言」をまとめました。

これに先立ち、G7とASEAN=東南アジア諸国連合の法務大臣らによる会合が初めて開かれ、「法の支配」の重要性を共有できるように協力していくことを確認しました。

ウクライナ TPPへの加入を正式に申請

ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナが、日本など11か国が参加するTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入を正式に申請したことがわかりました。

これは、TPPのとりまとめ役となっているニュージーランド政府が明らかにしたものです。

ことし5月にウクライナから加入の申請を受けたとしています。

TPPには、日本やオーストラリア、シンガポールなど11か国が参加していて、GDP=国内総生産の合計は11兆ドルを超える規模になります。

ウクライナとしてはロシアの軍事侵攻を受けるなかで、TPP参加国との間で経済的な結びつきを深め、関係を強化したい狙いがあるとみられます。

加入するにはすべての参加国から同意を得ることが必要で、今月中旬に開かれる参加国の閣僚会合の中で、ウクライナの申請について議論される可能性があります。

TPPにはウクライナのほか、中国や台湾などが加入を申請していて、今後どのように議論が進められるかが焦点となっています。

ロシア 国営メディア “プリゴジン氏邸宅”を公開

ロシアの国営メディアは5日、ロシア国内で武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏の会社の事務所を当局が捜索する様子や、邸宅だとされる場所の映像を放送しました。

テレビ番組の中で司会者はプリゴジン氏を「裏切り者」と表現していて、プリゴジン氏の信用を失墜させるねらいもあるとみられます。

ロシアの国営メディアが5日放送した映像には、プリゴジン氏の会社の事務所とされる場所に、帽子をかぶり銃を構えた男たちが踏み込む様子が映っています。

また、プリゴジン氏の邸宅だとされる映像には、豪華な装飾が施された室内にジェットバスやピアノなどが置かれ広大な敷地内にヘリコプターまで配備されている様子が映されています。

このほか、邸宅の中からは大量の札束や金塊や名前の異なる複数のパスポートが見つかったと紹介されていて、番組の中でジャーナリストとされる人物が「腐敗の証拠だ」と糾弾しています。

テレビ番組の中で司会者はプリゴジン氏を「裏切り者」と表現していて、ロイター通信はプリゴジン氏の信用を失墜させようとするねらいもあると指摘しています。

ロシア国内で武装反乱を起こしたあと、プリゴジン氏は公の場に姿を現しておらず、その動向に関心が集まっています。

“バイデン政権 ウクライナにクラスター爆弾供与へ” 米報道

アメリカの複数のメディアは、バイデン政権が、反転攻勢を続けるウクライナへの新たな軍事支援として、殺傷能力の高いクラスター爆弾の供与を近く発表する見通しだと相次いで伝えました。

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズなどは6日、バイデン政権の高官の話として、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対し、クラスター爆弾を供与すると近く発表する見通しだと伝えました。

クラスター爆弾は、1つの爆弾から多数の小型爆弾が飛び散る殺傷能力の高い兵器で、6月30日、アメリカ軍の制服組のトップ、ミリー統合参謀本部議長が講演でウクライナからの要請を受けて供与するかどうか検討を続けていると明らかにしていました。

クラスター爆弾は、小型爆弾が広い範囲に飛び散り、不発弾となって長期的に民間人に被害を与えることなどから、使用を禁止する国際条約がありますが、アメリカやロシア、それにウクライナは加盟していません。

アメリカメディアによりますと、バイデン政権は、ウクライナへの供与にこれまで消極的だったということですが、反転攻勢に対して守りを固めるロシア軍への攻撃に有効だと判断したということです。

アメリカ国防総省のライダー報道官は6日、記者会見でクラスター爆弾の供与は検討中だとした上で「ロシアはすでに戦場でクラスター爆弾を使用している。われわれが供与する場合には不発率の低い爆弾を慎重に選ぶことになる」と述べました。

ユネスコ「世界遺産条約の保護地域への攻撃」非難

ユネスコ=国連教育科学文化機関は声明を発表し、6日未明のウクライナの西部リビウへのミサイル攻撃について、「軍事侵攻が始まって以来、世界遺産条約によって保護されている地域への初めての攻撃だ」として、非難しました。

西部の主要都市リビウでは、中世の町並みが残る旧市街がユネスコの世界遺産に登録されています。

6日発表された声明によりますと、今回の攻撃で被害を受けた建物は世界遺産となっている地区には含まれませんが、世界遺産を開発などから守るため登録地域の周囲に設定している「緩衝地帯」にあたるということです。

ユネスコは、「世界遺産条約の締約国は、他の国の遺産に損害を与える可能性のある措置をとらないことを約束している。これらの義務は緩衝地帯にも適用される」として、ロシアに対し、条約の順守を訴えました。

ユネスコによりますと、軍事侵攻の開始以降、ウクライナでは、美術館や歴史的な建物など、少なくとも260の文化財が被害を受けているということです。

6日未明のリビウ市内へのミサイル攻撃について、リビウ州の知事は現場で新たに2人が遺体で見つかり、死者が7人になったと明らかにしました。

ロシアの戦術核兵器「ほとんどの核弾頭搬入」ベラルーシ大統領

ロシアと同盟関係にある隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領は6日、国内への配備を進めているロシアの戦術核兵器について「ほとんどの核弾頭は搬入された」と述べるなど欧米側へのけん制を強めています。

ベラルーシの大統領府によりますと、ルカシェンコ大統領は6日内外のメディアを集めて記者会見を行いました。

この中でルカシェンコ大統領は、ロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏について、現在はロシア国内にいると明らかにしました。

そして、前日の5日もプリゴジン氏と電話で会話をしたとした上で「プリゴジン氏はロシアのために働き、最後まで義務を果たすと私に言った。プーチン大統領が悪意をもって何かするようなことはない」としてプーチン大統領が何らかの報復措置をとることはないという見方を示しました。

一方、国内への配備を進めているロシアの戦術核兵器についてルカシェンコ大統領は「ほとんどの核弾頭は搬入され、ベラルーシ国内にある。年内に搬入が完了することは確実であり、もっと早くなると思う」と述べました。

その上で核兵器の使用について「ベラルーシが侵略された場合、即座に反応するだろう」と述べました。

今月11日からNATO=北大西洋条約機構が首脳会議を開こうとするなかロシアとベラルーシは核戦力を誇示し続け、欧米側へのけん制を強めています。

ゼレンスキー大統領 “欧米側の軍事支援進まず反転攻勢遅れた”

ウクライナのゼレンスキー大統領は、5日に放送されたアメリカのCNNテレビのインタビューで、ウクライナ軍に対する欧米側の支援について「支援を主導しているアメリカには感謝している」と述べました。

その一方で「私はアメリカやヨーロッパの指導者に対し、『もっと早く反転攻勢を始めたい。そのためには兵器や物資が必要だ』と訴えていた」と述べ欧米側の軍事支援が進まなかったために反転攻勢の開始が遅れたという認識を明らかにしました。

また「一部の方面では、関連の兵器がないために反転攻勢を検討することさえできない状況だ」と述べ、まだ反転攻勢の作戦を始められていない地域もあると強調しました。

そして、防御に力を入れるロシア側との戦い方について「空からの援護なしでは非常に厳しい」と述べ、F16戦闘機の供与を改めて訴えました。

ウクライナ国防省高官「ロシアの倉庫や補給施設を毎日破壊」

ウクライナ軍が東部や南部で反転攻勢を続ける中、ウクライナ国防省のマリャル次官は6日、「ロシアの倉庫や補給施設を毎日探しだし、破壊している。この1日、南部だけでも弾薬庫6か所を破壊した」とSNSに投稿しました。

これに先立ち国家安全保障・国防会議のダニロフ書記も4日、「ロシア軍の人員や装備、車両、燃料庫を最大限破壊するという最も重要な任務を果たしている。破壊のための戦いは前進のための戦いに等しい」とSNSに投稿し、領土の奪還に向けてロシア側に損害を与えていると強調しました。

ゼレンスキー大統領 NATO首脳会議前に各国歴訪 支援求める

ゼレンスキー大統領は、来週11日からNATOの首脳会議が始まるのを前に6日、加盟国のブルガリアを訪れ、デンコフ首相と軍事支援などについて協議したと明らかにしたのに続き、チェコへの訪問も発表しました。

さらに、トルコ大統領府によりますと、ゼレンスキー大統領は7日、トルコを訪れ、エルドアン大統領と会談するということで、ロシアとの橋渡しを担ってきたトルコとの関係強化を図るとみられます。

ウクライナは、ロシア側に対する反転攻勢を続けるとともにNATO首脳会議が始まるのを前に、軍事支援を求める動きも強めています。

NATO事務総長 スウェーデン加盟へ調整続ける考え示す

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は、スウェーデンの加盟をトルコが承認していない問題について、11日から始まるNATO首脳会議の前に両国首脳の会談を設けるなど、ぎりぎりまで調整を続ける考えを示しました。

ベルギーにあるNATO本部で6日、NATOへの加盟を目指すスウェーデンと、これを承認していないトルコなどの高官が協議しました。

同席したNATOのストルテンベルグ事務総長は協議のあとの会見で、スウェーデンの加盟について「首脳会議で、前向きな決定を行うことは可能だ」と述べ、11日からリトアニアで開かれるNATO首脳会議で進展が図れる可能性があると指摘しました。

ただ、その前提として、トルコ側が、承認の用意があると明確にする必要があるという認識を示しました。

その上で、首脳会議前日の10日にスウェーデンのクリステション首相とトルコのエルドアン大統領の会談を設けると明らかにし、ぎりぎりまで調整を続ける考えを示しました。

一方、協議に出席したトルコのフィダン外相は「期限を定めて承認を迫るべきではない。スウェーデンが行うべきことははっきりしている」と述べ、スウェーデン側にテロ対策のいっそうの強化を求めました。

これに対してスウェーデンのビルストロム外相は「加盟に向けた取り組みを続けていく。トルコ側が来週、前向きな決断を下すことを期待している」と述べ、10日に行われる両国の首脳会談が当面の焦点となります。