国立劇場建て替えへ 現劇場での歌舞伎鑑賞教室も今月が最後に

東京の国立劇場が建て替えのため近く閉場するのに伴い、今の劇場では今月が最後となる歌舞伎の鑑賞教室が開かれ、高校生の観客でにぎわいました。

伝統芸能の拠点である国立劇場は、老朽化による建て替えのため、ことし10月で閉場となります。

昭和42年に始まった中高生や初心者向けの歌舞伎鑑賞教室も、今の劇場では今月が最後で、6日は千葉や神奈川の高校生が校外学習で大勢、劇場を訪れました。

はじめに歌舞伎俳優の澤村宗之助さんが、歌舞伎独特のせりや花道などの舞台機構、それにさまざまな演出の方法について説明したあと、これから見るお芝居について登場人物の相関図を示しながら、鑑賞のポイントをわかりやすく解説しました。

続いて、中村芝翫さんや中村錦之助さんらが出演する歌舞伎が上演されました。

江戸の人々の義理と人情や家族の絆がこまやかに描かれた名作の舞台を生徒たちはじっくり見入っていました。

舞台芸術の入門編として知られる国立劇場の歌舞伎鑑賞教室はこれまでにおよそ632万人が鑑賞したほか、この教室をきっかけに歌舞伎のファンになった人や舞台関係の仕事に就いた人もいるということです。

鑑賞した高校生は「歌舞伎を見たのは初めてですが、解説がわかりやすく理解できました。この劇場での最後の公演を見られてよかったです」などと話していました。

国立劇場は6年後、2029年の秋以降に再び開場する見込みです。