有害性指摘「PFAS」漏出 “情報提供と対策を” 小池知事

一部で有害性が指摘されている化学物質「PFAS」が含まれる泡消火剤が過去にアメリカ軍横田基地内で漏れ出たことが確認されたことについて、東京都の小池知事は、詳細な情報の提供とともに安心安全な対策につなげることを求めました。

有機フッ素化合物のPFASは、一部の物質で有害性が指摘されていて、都は5日、PFASが含まれる泡消火剤がアメリカ軍横田基地内で10年以上前に漏れ出たことが3件確認されていたと国から連絡があったことを公表しました。

これについて、小池知事は都内で記者団に対し「基地内の情報や環境調査はなかなか難しいものがある。今回出てきたことによって対応が練られるとともに、漏れ出たのがいつなのかなど詳細は伺いたい」と述べました。

そのうえで5日、国に対して地下水の影響調査などを要請したことを踏まえ「都としての要望などを早速、文書にして出したところだ。安心安全な対策につながるようにしてほしい」と述べました。

PFASをめぐっては、都の地下水の調査で、横田基地のある多摩地域と23区の合わせて17自治体で、国の暫定の目標値を超える値が検出されています。

一方、都は井戸水で目標値を超えるなどした場合、取水を停止しているため水道水に影響はないとしています。

専門家「国が認識 大きな意義がある」

20年以上にわたって全国のPFASの状況などについて研究を続けている京都大学大学院の原田浩二准教授は「国が『横田基地内でPFASが含まれる泡消火剤の漏出があった』と認識していることが明らかになったのは大きな意義があり、国もこれが問題だと認識しているということだ」と指摘しました。

原田准教授は市民団体とともに多摩地域の住民を対象に血液検査を行ったところ、平均で、国がおととし、全国の3地点で行った調査の平均値の2.4倍にあたる血中濃度が検出されました。

この結果を踏まえ、原田准教授は「基地内とはいえ、漏れ出たPFASがその後、どこにいったのか。これまで泡消火剤がどのような場所で、どれくらい使われてきたのか。多摩地域を中心に高い濃度で検出されていることとどう関わってくるか、明らかになっていない。汚染が広がってからでは除去なども行いにくくなるので早く状況や影響を把握してできる対策をとる必要がある。政府が責任を持って、アメリカ軍とやりとりを続け、こうした情報を引き出し、立ち入り検査も要望していく必要がある」と話していました。

住民「怒りがわいてきます」

東京 立川市の井出由美子さん(73)は、ことし1月に専門家などが行ったPFASの血液検査で全国の平均を上回る血中濃度が検出されたということです。

東京都は5年前から、井戸水で国の暫定の目標値を超えるなどした場合、取水の停止などの対応を取っているため、水道水に影響はないとしています。

ただ、井出さんは立川市に50年以上暮らしていて、昔は井戸水をそのまま飲んでいたということです。

今回、アメリカ軍横田基地内で10年以上前にPFASが漏れ出ていたことを今になって知ったことに憤りを感じています。

井出さんは「国や都は、住民の健康を守ることが役目だと思うのに、これまで情報が出てこなかったことには怒りがわいてきます。いつから、井戸水にPFASが混入していた可能性があるのかわからないことばかりなので、行政には情報提供をしっかりしてほしい」と話していました。