5月放送ニュースウオッチ9 取材受けた遺族などBPOに申し立て

ことし5月、NHKのニュース番組「ニュースウオッチ9」で、ワクチンの接種後に亡くなった人の遺族を新型コロナに感染して亡くなった人の遺族と受け取られるような伝え方をしたことについて、取材を受けた遺族などが「心情を踏みにじられた」などとして、5日、BPO=「放送倫理・番組向上機構」の放送人権委員会に申し立てを行いました。

ことし5月15日に放送した「ニュースウオッチ9」では、「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常」というテーマで、およそ1分間の映像を放送し、この中で、ワクチンの接種後に亡くなった人の遺族3人のインタビューを紹介しましたが、NHKは、コロナに感染して亡くなった人の遺族だと受け取られるような不適切な伝え方だったとして、翌16日に番組内でおわびしました。

これについて、取材を受けた遺族3人などが「遺族の心情を踏みにじられた」などとして5日、BPOの放送人権委員会に申し立てを行いました。

このあと、都内で記者会見した遺族のうち、夫がワクチン接種後に亡くなった河野明樹子さんは、「ワクチンではなくコロナで死んだ人の遺族と受け取られると思いました。これなら取材を受ける必要はなかったと思いました。とにかく悔しくて悲しいです」と話していました。

また、母親がワクチン接種後に亡くなった佐藤かおりさんは、「なぜこのような対応なのか不思議でしかありません。ワクチン接種で救えた命もある一方で、接種したことによってなくなった、失った命もたくさんあります。しっかりと報道すべきだと思います」と話していました。

この放送をめぐってはBPOの放送倫理検証委員会も、審議入りを決めています。

NHKは、「ご遺族や視聴者の皆様に改めてお詫び申し上げます。BPOに引き続き協力してまいります」とコメントしています。