【解説動画】ザポリージャ原発に地雷? ウクライナ政府が警戒

ウクライナ政府は、ロシア軍が占拠するザポリージャ原子力発電所からロシア側が退避する動きが見られるなど、原発へのテロを計画していると主張し、周辺の地域で原子力事故に備えた大規模な訓練を行うなど警戒を強めています。

ウクライナ政府の主張の詳細と、各国の反応について、「国際報道 2023」油井秀樹キャスターの解説です。

※7月3日 放送
※動画は3分00秒 データ放送ではご覧になれません

ウクライナ政府が「危険だ」と先週から警告を強めているのが、ザポリージャ原子力発電所です。

ザポリージャ原発は軍事侵攻後、ロシア側が占拠していますが、ウクライナ国防省は、ロシア側に施設から退避する動きがみられるほか、ロシア側と契約を結んだウクライナ人の従業員に対し5日までに退避するよう通告があったとしています。

その上でウクライナ政府は「ロシアが原発の施設に地雷を仕掛けている」と指摘し、奪還を目指すウクライナ側が施設に入ってくれば地雷などが爆発して施設を爆破させる狙いではないかと主張しているのです。

ゼレンスキー大統領は1日、「深刻な脅威だ。ロシア側は原発で局地的な爆発を引き起こす準備ができている」と述べました。

ウクライナ政府は警戒を強めています。

ザポリージャ原発の近くで、先週、放射性物質漏れが起きたという想定で住民の避難や汚染の除去などの大規模な訓練を行いました。

ウクライナエネルギー省の高官は「ロシアが仕掛ける可能性がある。ザポリージャ原発での有事に備えている。多くのシナリオが考えられるが最悪の事態に備える」と述べました。

ウクライナ側は警戒していますが、これに対してロシアのラブロフ外相は「ウクライナ側の主張は全くのうそだ」と否定しています。

また、IAEAは先月30日の声明で「ザポリージャ原発に常駐するIAEAの専門家による調査の結果、施設内で地雷などの爆発物はこれまで見つかっていない」「より詳しい調査を行うためには追加のアクセスが必要だ」としています。

ウクライナ政府の主張とはそごがあり、現時点で、ウクライナ政府の情報の真偽は不透明で、各国政府は事態の把握に追われているようです。

アメリカ ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は、先月26日、「脅威が差し迫っている兆候は見られないが、注視している」と述べました。

アメリカ政府は、放射線探知機をザポリージャ原発周辺を含む各地に配備していて、異変がないか注視しているとしています。

ウクライナでは、先月、ダムが決壊し、環境汚染や市民への被害が今も拡大しています。

原発にもしものことがあれば、さらなる被害は明らかで、警戒が続きそうです。